5年1組みんなで世界を変えた日
@trantran8910
5年1組みんなで世界を変えた日
先生: 「今日から五年一組に新しいお友達がやってきます」
子供たち: 「ええっ!?」
( 子供たち。「転校生が来るなんてめずらしいね」「どんな子かな」などと友達話しかける。)
先生: 「こっちに来てください。じこしょうかい出来ますか?」
( ダット登場。)
ヒマリ: 「え!かっこいい!外国人?」
ツムギ: 「ハーフかな?」
リン: 「日本語話せるのかな?」
( ダット。みんなの前に立ち大きな声で言う。)
ダット: 「こんにちは!ボクの名前はトラン- タン- ダットくんです!10才です!小学生です!ベトナム人です!ベトナムのホーチミンから来ました!」
( ミナト、リツ、いつき。いじわるく笑う)
ミナト: 「とらーんたーんだっとくんでーす!」
リツ: 「自分に「くん」つけるの赤ちゃんみたい」
イツキ: 「ようち園にもどったらどうですかー」
( エイミ手をあげる)
エイミ: 「あ!あの、質問いいいですか?どこがみようじでどこが名前ですか?」
( ダット。がんばって「みょうじ」と言おうとするが上手に言えない)
ダット: 「み… よ… ?あー… トラン、ファミリーネーム。タン、ミドルネーム。ダット、ギブンネーム」
( 子供たち。「なんて言ったの?」「分からない」「英語話した?」などと近くの友達に話しかける)
エイミ: 「あの… トランがみょうじ。タンはみょうじと名前の間の名前。名前がダットだと思う」
ヒマリ: 「エイミちゃんすごーいー!なんで分かるの?」
エイミ: 「お父さんが英語の先生だから… 」
先生: 「じゃあダットくんはゆあさんのとなりに座ってください」
( 先生は外へ出て行く)
ダット: 「ゆあさん、よろしくお願いします!」
ユア: 「なんで同じ年の人にけい語使うの?変だよ」
ダット: 「日本語学校でけい語の勉強しましたから… 」( こまった声で)
( ミナト、イツキ、リツがダットの近くに来る。いじわるな声で言う)
ミナト: 「日本語ちゃんと勉強してから日本来たらいいじゃん。けい語しか使えないの?」
イツキ、リツ: 「ちゃんとした日本語話さないと分かんないよー」
ヒマリ: 「みんな、やめなよ!」( 大きな声で)
ヒマリ: 「ダットは日本来たばかりなんだから。日本語がむずかしいのは当たり前だよ」
リン: 「そうだよ」
ツムギ: 「いじわるだよ」
( ミナト。バン!とつくえを強くたたいておこって出て行く。ユア、イツキ、リツはミナトを追いかける)
ダット: 「ありがとうございます」
ヒマリ: 「だいじょうぶだよ。ワタシはヒマリ。なんでも聞いてね。この子はリン。この子はツムギ。ワタシの友達だよ」
( チャイムの音。舞台暗くなる)
( 子供達にテスト用紙が返される。ミナト、ダットのテスト用紙を取り上げる。ミナト、ユア、イツキ、リツがダットの周りに立つ)
ミナト: 「わー!やっば!10点?日本語本当に勉強したの?」
ユア: 「見せて見せて。わー本当に10点だ!日本語できないのに日本の学校来ていいの?」
イツキ: 「日本語出来ないならベトナム帰れよ!」
リツ: 「そうだな。かーえれ、かーえれ、ベトナム帰れ!」
( エイミ。立ち上がる)
エイミ: 「やめなよ」
ヒマリ: 「やめなよ!なんでダットにいじわるするの?」( エイミの声を消すくらい大きな声で)
リン、ツムギ: 「そうだよ。いじわるやめて」
( ミナト。ヒマリに近づきヒマリの手をつかむ)
ミナト: 「前から思ってたんだけどお前見るとイライラする」
リン、ツムギ: 「ヒマリちゃん!」
ヒマリ: 「何?やめて。先生に言うから」
ミナト: 「良い子のふりするのやめろよ!」
( ミナト。ヒマリをたたこうとする)
ダット: 「やめてください!」
( ダット。ミナトの手をつかむ)
ダット: 「女の子をいじめるあなた弱いです。ダメです」
( ダット。じっとミナトの目を見る)
ダット: 「ヒマリさんいじめるやめてください」
( ミナト。何も言わずに出て行く)
リン、ツムギ: 「ヒマリちゃんだいじょうぶ?」
ヒマリ: 「ワタシはだいじょうぶ。ダットありがとう」
ダット: 「どういたしまして」
( ヒマリを残して子供達いなくなる。ヒマリ一人残って言う)
ヒマリ: 「ダットって、かっこいい」
( ダット家に帰る)
ダット: 「お姉ちゃんいる?ただいまー」
マイ: 「ダット、メッセンジャー見て。ゴックちゃんとアンくんからメッセージが届いてる」
ダット: 「やったあ」
( ダット、パソコンを開く。ゴックとアン登場)
ゴック: 「大好きな友達ダットくんへ。元気?ダットくんは日本に来れていいな。わたしは呪術廻戦が大好きだから日本に行ってみたいな。日本の楽しい話またたーくさん聞かせてね。ダットくんと家族の健康と幸せを願っています」
アン: 「大切な友達ダットへ。元気ですか?日本だと鬼滅の刃のグッズがたくさん買えるからきっと楽しいだろうと思います。善逸の人形は買えましたか?日本の話また聞きたいな。ダットと家族がずっと健康で幸せでいますように」
( ゴックとアン退場。ダットは少し考える)
ダット: 「大好きなゴック、アン。日本はとても楽しい… 」
( マイ。ダットの後ろに立つ)
マイ: 「ダット。なんでウソを書くの?日本が楽しいなんてウソでしょ?」
ダット: 「お姉ちゃん… 」
マイ: 「日本人いじわるだもん。ワタシが一生けん命日本語を話しても笑う。だれも真けんに聞いてくれない。日本語分からなくて困っててもだれも助けてくれない」
ダット: 「ボクはまだがんばれるよ。まだ日本来たばかりだもん」
マイ: 「… ワタシはもう帰りたいよ。友達といっしょにベトナムの中学校に行きたかったのに」
( マイ出て行く。と中で立ち止まりダットを見て言う)
マイ: 「辛いならいつでも言ってね。いっしょにお父さんに言おう。ベトナムに帰りたいことを伝えよう」
( ダット一人で部屋に残る。ダットの良い心と悪い心が登場する)
悪い心: 「お姉ちゃんの言う通りだよ。日本人はいじわる。今日だってひどいことを言われただろう?日本人はみーんないじわるなんだ。もう日本人のお友達なんて作らなくていいんだよ。日本人なんてみんな嫌いだよ」
良い心: 「そんなことないよ。ヒマリさんは助けてくれたでしょ?リンさんもツムギさんも助けてくれたよ。日本人にも良い人がいるよ。日本人をみんな嫌いになるなんて!そんなこと考えたらダメだよ。」
ダット: 「でも、いたいんだ。今日はベトナムに帰れと言われたよ。それを聞いた時とても心がいたかった。こんな気持ちにはもうなりたくないよ」
悪い心: 「日本人がいじわるだからダメなんだ」
良い心: 「信じて。きっと日本人ともお友達になれるよ」
( ダット。だまってしまう。良い心と悪い心はダットを残して退場)
( 子供達は教室に集まっている)
先生: 「はい。じゃあ今日は英語の基本の復習をします。家族が何人いるかについて英語で話してください。じゃあミナトさんから順番に」
ミナト: 「フォーピーポー。ファザー。マザー。ビック・ブラザー。ミー」
リツ: 「スリーピーポー。ファザー。マザー。ミー」
ユア: 「スリーピーポー。グランドマザー。マザー。ミー」
ダット: 「my family has 4 people. My father my mother my sister and me.( マイファミリーハズフォーピーポー。マイファザーマイマザーマイシスターアンド
ミー) 」
( 子供達ざわざわとする。「今の英語だよね」「なんか発音良くて分からなかった」などと近くの子供たちと話す)
ヒマリ: 「エイミちゃん。ダットなんて言ったの」
エイミ: 「えっと… 家族の人数とお父さん、お母さん、お姉ちゃんがいるって言ってた」
ダット: 「あー。ボク家族四人いる言いました。お父さんとお母さんとお姉さんとボクがいます… 英語ちがいますか?」( みんながざわざわとするので不安そうに言う)
先生: 「いえ。とても上手な英語でしたよ。ダットくんはすごいですね」
( 先生がはくしゅする。ミナト、ユア、イツキ、リツ以外の子供ははくしゅする。先生退場。チャイムの音)
ヒマリ: 「英語の時間ダットすごかったね!」
リン: 「英語できるのいいなー」
エイミ: 「ダットくんは英語何年勉強したの?」
ダット: 「みんなと同じです。小学校2年生から勉強しました。これくらい話せる思います」
( みんな少しだまってしまう)
ミナト: 「さっきからバカにしてる?これくらい話せるとかさ。小学校2年から勉強したとかさ。何?日本の小学校はおくれてるって言いたいの?オレらこれくらいの英語も話せないって言いたいの。」
ダット: 「は?ちがいますけど」
( ミナト。机をたたいて大きな音を出す)
ミナト: 「今「はぁ?」って言ったのか?なんだよ完全にバカにしてるじゃん」
エイミ: 「ミナトくん違うよ… 」
( みんながエイミを見る)
エイミ: 「「はあ」を「え?」の意味で使う国があるから。台湾もそうだよ」
ミナト: 「適当なこと言うなよ!そんな国あるわけないだろ!」
エイミ: 「… ごめんなさい」
( エイミ。こわくてだまってしまう)
ダット: 「ミナトさん!エイミさんにおこらないでください!」
( ダットおこった顔でミナトに近づいて行く)
ダット: 「なぜあなた、いつもおこる?変です!変ですよ!」
ミナト: 「なんだよ」
ダット: 「ボク何かしますか?ボク何もしません!でもあなたいつもおこる!説明必要です!なぜですか?言ってください!早く!」
ミナト: 「うるさい!」
( ミナト。ダットの顔をなぐる)
ダット: 「ダウ!( いたい!) 」( 顔を手でおさえて、さけぶ。ダット泣き出す)
エイミ: 「ダットくんがかわいそう!」
ヒマリ: 「ダットだいじょぶだよ。先生を呼ぶからね」
リン: 「ツムギ!先生呼ぼう!」
ツムギ: 「先生!先生!ミナトがダットくんをなぐった!」
( リン、ツムギ、先生を呼びながら出て行く)
ヒマリ: 「ミナト最低!」
ユア: 「ミナト… どうしよう。パパに言われる… 」
( ミナトだまって下を見る)
( ミナト。ユアと帰っている。ミナトのお兄ちゃんハルト登場)
ハルト: 「ミナト!」
ミナト: 「兄ちゃん… 」
ハルト: 「お母さんからライン来てたぞ。お前外国人の子をなぐって泣かせたんだってな」
ミナト: 「お父さんに言わないで」
ハルト: 「お父さんにはもうラインした。後、お前が塾サボってユアちゃんと遊んでることも言うからな」
ユア: 「ハルトくん!それは関係ないよ!ミナトのパパに言わないで!」
ハルト: 「ユアちゃんはだまっててくれる?ユアちゃんと遊んでるからミナトはずっとバカなんだよ」
ミナト: 「それはちがう… 」
( ハルト。ミナトをおす。そしてたたく)
ハルト: 「お前みたいなバカが弟だからオレは、はずかしいんだ。お前なんて弟じゃない」
ユア: 「ハルトくん!やめて!」
( ユア。泣き出す。ハルトの友達ユウヤが登場)
ユウヤ: 「ハルトやめろよ。塾おくれるぞ。いつも弟いじめて楽しいのか」
ハルト: 「こんなやつ弟じゃない… 早く塾に行こう。先生におこられる」
ユウヤ: 「それならほおっておけよ。お前が弟をいじめているの見たくないんだ」
( ハルト。ユウヤ。退場)
ミナト: 「なんでだよ。なんでオレばっかり」( ミナト地面をたたいて言う)
( ミナトの家。ハルトがミナトをいじめている。机の上に教科書がある)
ハルト: 「なんでオレがお前に勉強教えないといけないんだよ。オレだって宿題あるのに!」
ミナト: 「兄ちゃんごめんなさい」
ハルト: 「小学校からこんなに成績悪くてどうするんだよ。お前だけ山形東高校入れなかったらお父さんはどうするのかな」
ミナト: 「オレ山形東は行きたくない… 」
ハルト: 「なら家出てけよ!お前はジャマなんだよ」
( 教科書を強く机にたたきつける)
ハルト: 「お前を見てるとイライラする」
( ハルト出て行く。ミナトの良い心と悪い心が登場)
悪い心: 「かわいそうにミナト。ミナトはいつもお兄ちゃんからいじめられて、お父さんからもおこられるんだ。イライラするよな」
良い心: 「だからといってダットをいじめていいの?ミナトだって本当はいじめをする自分なんてキライでしょ?悪いことだって分かるでしょ?」
悪い心: 「うるさい!うるさい!ダットのことなんてキライなんだ。なんでダットばかりみんなから守られるんだ。ダットは外国人だからすぐに心配される。勉強ができなくても許してもらえる。ミナトはそうじゃないのに」
良い心: 「ダットは日本に来たばかりだからしかたないでしょ?」
ミナト: 「オレだって兄ちゃんやお父さんからいじめられるのにだれも守ってくれない。ダットには学校にも守ってくれる人がいるけどオレは一人だ」
悪い心: 「そうだろ!だからダットをいじめるんだ。だれかをいじめたらきっと気持ちがスッキリするよ」
( ミナト悪い心と手をつないで出て行く。良い心は一人で残る)
良い心: 「ミナトいじめはダメだよ!気がついて!」
( ダット家に帰る。マイがダットを待っている)
マイ: 「ダットおかえり… その顔の傷どうしたの?」
ダット: 「転んだだけだよ」
マイ: 「なんでウソつくの?さっきお母さんから電話がきたよ。ダットが学校でなぐられたって。ダットの先生から電話来たって」
( ダット何も言わない)
マイ: 「ダットの悲しい顔は見たくない。ベトナムではあんなに明るかったのに最近は悲しい顔ばかりしてるよ」
ダット: 「ボクは… お姉ちゃん、ボクは好きで日本に来たんじゃないよ」
マイ: 「ダット」
ダット: 「ベトナムならテストも百点ばかり取ってた。言葉でバカにされることなんてなかった。それに本当はベトナムでサッカーも続けたかった。バンラム選手みたいにゴールキーパーになってベトナムの全国大会に出たかった」
( ダット泣く)
ダット: 「ボクだって好きで日本に来たわけじゃない」
マイ: 「もういいよ。いいよダット。お父さんに言おう。お母さんにも言おう。ベトナムに帰りますって。おばあちゃんにも電話しよう」
ダット: 「ボクもう帰りたい。ベトナムがいい。日本はイヤだ」
( 次の日の休み時間)
ヒマリ; 「ダットそこに座って」
( みんなが円型にイスを並べて座っている。きんちょうした顔をしている)
ヒマリ: 「もうすぐミナトとユアが来るから」
( ミナトとユアが登場)
ミナト: 「なんだよ。みんな座って何してるんだよ」
ヒマリ: 「ミナトはみんなの真ん中に立って。ユアはわたしのとなりに来て」
ミナト: 「だから何なんだって聞いてるんだよ!」
リン: 「ミナトくん暴力ふるったらすぐに先生に言うよ」
ツムギ: 「今度はお母さんじゃなくてお父さんのスマホに連絡するって言ってた」
( ミナトだまってみんなの真ん中に立つ)
ヒマリ: 「きのうミナトがダットに暴力をふるいました」
リン: 「そのことについてみんなはどう思いますか?一人ずつミナトくんに対しての意見を言ってもらいます。じゃあまずはツムギから」
( 注: ここからは実際に演じる子供が自分の意見を言ってもいいし、台本どおりに演じてもいいです。自由に演じてください)
ツムギ: 「ダットくんは何も悪いことはしてないと思う。日本語が話せないのも仕方ないと思う。なんでミナトがダットくんをいじめるのか分からない」
ヒマリ: 「次。リンはどう思う」
リン: 「ミナトが悪いと思う。ミナトはすぐにたたくしヒマリちゃんのこともたたこうとしたからキライ。暴力はいけないと思う」
ヒマリ: 「わたしも二人と同じ意見。ミナトが悪い。ミナトはダットがカッコよくて英語も話せるから嫉妬してるんだと思う。カッコ悪いよ」
ミナト: 「決めつけんなよ。嫉妬なんかしてないし」
ヒマリ: 「ミナトは、だまって。次エイミちゃん」
エイミ: 「わたしは… わたしは」
( エイミ。ミナトとダットを見る。少し考えるが自分の意見が言えない)
リン: 「エイミちゃんはまだ考えたい?」
ツムギ: 「エイミちゃんは後で言えばいいんだよ」
ヒマリ: 「次。イツキはどう思う」
ミナト: 「どう思うって… イツキ!お前だってダットのこといじめてたじゃん!リツだってそうじゃん。そうだよな!イツキ!リツ!」
ヒマリ: 「ミナトだまって!お父さんに電話してもらうよ!」
( ミナトだまる)
イツキ: 「オレ別にダットのこといじめようとか言ってないし。ミナトに言われたからやっただけ。オレ関係ないし。しかも、なんか、ミナト暴力ふるうからダメだと思う。オレは暴力とかしなかった」
ヒマリ: 「リツはどう思う?」
リツ: 「暴力ふるう人は友達じゃない」
ミナト: 「なんでだよ。なんでオレのせいばっかり。お前らだってやってたじゃん。オレはやろうとか命令なんてしてない… 」
リツ: 「正直に言うと… ミナトすぐにおこるし、どなるし、なんかつかれる」
イツキ: 「オレとリツはお前のおもちゃじゃないから。いつもおこったり、どなったり、人に暴力ふるう人とは無理。遊べない」
( ミナト。みんなの顔を見る)
ミナト: 「だって、オレは… オレは」
ヒマリ: 「ユアはどう思う」
ユア: 「え?」
ヒマリ: 「ユアはダットに暴力ふるった人の友達なの?」
リン: 「ユアも暴力さんせいの人なの?そんな人とは遊べないな」
ツムギ: 「そんなことないよね。ユアはわたしたちの仲間だもんね。暴力ふるう人はイヤだもんね」
ユア: 「ミナトは悪い人じゃない… 」
ヒマリ: 「ならユアも暴力さんせいなんだ。最低じゃん。聞いた?みんな聞いた?ミナトは暴力ふるうし、ユアは暴力さんせいです!」
ミナト: 「いいかげんにしろよ!なんだよオレが全部全部悪いのかよ。だいたい外国人がなんで日本来るんだよ。ベトナム人はベトナムに住めばいいじゃん。こっち来んなよ」
ヒマリ: 「また最低なこと言ってる。イツキ、リツ、どう思う?」
イツキ: 「最低」
リツ: 「はずかしい」
ヒマリ: 「ユア本当にこんな人の友達でいいの?もう一度チャンスあげるよ。ミナトなんて友達じゃないって言いなよ。そしたらわたしたちの仲間だよ」
( ユア。ヒマリの方を見る。ミナト、下を見てさけぶ)
ミナト: 「オレはまちがったことなんて言ってない。オレだけが悪いんじゃない。だって、外国人だってそうじゃん… どうせ… どうせ外国人なんて日本で悪いことばっかりしてるんだろう!」
( みんな静かになる。ミナトみんなの方を見る。まずいと言う表情)
ユア: 「ミナトそれは… 」
( ダット。ゆっくりとミナトに近づいて言う)
ダット: 「ボク、お父さんエンジニアです。日本のため働きます。おそい時間帰ります。日本の技術助けたいだから日本来ました。お母さん通訳です。日本で働く外国助けます。日本の会社も助けます。だから」
( ダットゆっくりおこった声で言う)
ダット: 「悪くない。お父さん悪くない。お母さん悪くない。悪いこと何もない。何も、何も知らないだったら話すな。絶対話すな」
( ダット。言いたいことがあるけど上手く言えないという表情)
ダット: 「なぜ、なぜ、なぜですか!外国人だから?外国人だから悪い?外国人だからキライ?もう… なぜ、なぜ、… あー… もう、なぜですか… 」
( ダット教室を出て行ってしまう。ヒマリ、追いかけようとする。ダット手の平をヒマリに見せ「来ないで」というジェスチャーをする)
エイミ: 「ミナトくん」
( ミナト。エイミを無視する)
エイミ: 「ミナトくん聞いて。ワタシ、サトウって言うみようじだけどお母さんは台湾人なの。ワタシは台湾と日本のハーフ。ワタシの台湾の名前はリンインメイ」
( 子供達。「エイミちゃんってハーフなの?」「知らなかった」とさわぐ)
エイミ: 「ミナトくんがダットくんに言ってた言葉。全部ワタシにも言われているような気になった。ワタシも外国人のルーツがあるから」
( ミナト。エイミの顔を見る)
エイミ: 「だから言ってよ。今、ワタシに。ワタシとワタシのお母さんに向けて言ってみてよ。外国人は日本で悪いことばかりしてるんだろうって今、ワタシの目の前で言ってみてよ」
( ミナト。少しだまった後で言う)
ミナト: 「別にそんなつもりじゃなかった」
エイミ: 「ミナトくんのしていることは人種差別だよ。外国人だからって悪く見る。悪く言う。決めつける。日本人と同じ生活をさせない。全部人種差別だよ。外国人だからって傷つけないで。それはゆるされない。人種差別のある世界はおかしいよ。もうやめよう」
( エイミ、出て行く。出ていきながら言う)
エイミ: 「ダットくんをさがしてくる」
( エイミ。歩きながらダットをよぶ)
エイミ: 「ダットくん!ダットくん。お願い。お話しよう」
( ダット登場。おどろいた顔でエイミを見る)
ダット: 「エイミさん?」
エイミ: 「ダットくん。ワタシずっとこわくて、みんなとちがうのがこわくて言えなかったことがあるの」
ダット: 「はい」
エイミ: 「ワタシの名前はリンインメイ。日本の名前がサトウエイミ。ワタシは日本と台湾のハーフなの」
ダット: 「それを言うのが、こわかったですか?」
エイミ: 「こわかった。みんなと同じ日本人じゃないとどうなるんだろう。みんなにちがうって思われたらどうしよう。そう思うとずっと言えなかったの」
ダット: 「日本人ちがう人いじめますだから… ボクはもうベトナム帰りたいですよ。もうちがうだから、外国人だから、ベトナム人だから、つかれました」
エイミ: 「ワタシね、小さいころ台湾に住んでたの。8才で東京に転校して9才でお父さんの地元の山形市に帰ってきた」
( ダットうなずく)
エイミ: 「台わんにも悪い人はいた。日本にも悪い人はいた。ベトナムだってそうでしょ?悪い人がどこにでもいるし、いじわるをしてくる人もたくさんいる。特に外国人には、いじわるになる人がたくさんいる」
ダット: 「悲しですね」
エイミ: 「でも優しい人もいるの。台わんにも日本にも。探すのはむずかしいけれど。助けてって言うの。色々な人と話すの。色々な場所に行くの。そしたら助けてくれる人がたくさんいる。本当だよ。だからダットくん」
ダット: 「はい」
エイミ: 「広い世界を見て。せまい世界の少ない人だけを見て日本人は悪いって決めないで。その人がどこの国の人かじゃない。同じ人間として、友達として見てほしいの」
( エイミ、ダットの顔を見て言う)
エイミ: 「わたしは勇気を出すよ。ダットくんもいっしょならうれしいな」
( エイミ、ダット教室に戻る)
ヒマリ: 「ダットのこともエイミちゃんも傷つける。こんな人は五年一組にいりますか」
子供達: 「いらない!いーらない!いーらない!」( てびょうしをしながら大きな声で言う)
( ミナト。ショックを受け教室からとびだす)
ユア: 「こんなのおかしいよ」
( ダット、エイミ、教室に入る。ユア二人を見て言う)
ユア: 「ミナトだって苦しいの。ずっとお父さんからいじめられてるしお兄ちゃんからもいじめられてる。ミナトだってずっとずっと苦しいのに」
( 子供達。「知らなかった」「ミナトはそんなこと言わないから」とさわぐ)
ユア: 「どうしてミナトだけ悪いの?どうしてダットだけみんなから守られるの?ミナトは悪い人じゃない。ユアが1人ぼっちだった時もユアがママからいじめられてた時もずっとミナトが側にいてくれた」
( ユア泣き出す)
ユア: 「ミナトのことみんな知らないじゃん。苦しいのも、家族からいじめられてるのも知らないじゃん。もうミナトを傷つけないで」
( ユア教室を出る。ダット、エイミ追いかける)
( ダット、エイミはユアとミナトを探す。ユアと話してるミナトを見つける)
ダット: 「ミナトさん。ユアさん」
ミナト: 「… なんだよ。何言いにきたんだよ」
ダット: 「ミナトさん苦しいの聞きました。ユアさんも苦しいの聞きました。だけど家族からいじめられるであれば、大人や警察言うのが正しいです。ボクいじめても解決できないです」
ミナト: 「そんなの分かってるよ。分かってるけど、どうしたらいいか分かんないから。だって家族も学校のみんなもみんなオレのことなんてキライだから」
( ユア泣き出す。ミナトは下を見てガマンする)
ダット: 「ボク、ミナトさん好きです。ユアさんも好きです」
( ミナト、ユア、エイミ、おどろいてダットを見る)
ダット: 「2人の苦しい解決できないだけど、二人好きなること出来る。友達なること出来る」
( ダット。ミナトに手をさしだす)
ダット: 「ボク達ケンカするため出会った、ちがいます。友達になるため出会う。そうでしょ?友達なりましょう」
( ミナト、ユアまよう)
エイミ: 「このままだったらみんな苦しいだけだよ。ミナトくんも苦しい。ユアちゃんも苦しい。ダットくんも苦しい。みんな苦しいよ」
( ユア。立ち上がる。ダットの手を取りミナトの方に近づける)
ユア: 「わたしもきっとみんなを好きになれるよ」
( ミナト。立ち上がりダットに手を差し出す)
ミナト: 「ダット。今までごめん。オレら友達になれるか?」
( ダット笑ってミナトの手をにぎる)
ダット: 「はい。ボク達はもう、友達なりました」
( ダット。エイミ二人だけ残る)
ダット: 「エイミさんありがとうございました」
エイミ: 「え?どうして」
ダット: 「きっとエイミさんいなければボクはミナトさんに友達なろう言えなかったです。きっとベトナム帰ってずっと日本キライなってました」
エイミ: 「ダットくん」
ダット: 「ボクまだ山形のこの小学校いる日本人しか会ってないです。本当はもっと日本人知りたい。友達なりたい」
エイミ: 「ダットくんはすごいよ。勇気を出してミナトくんを知ろうとした。友達になった」
ダット: 「ボクすごい、ちがいます」
エイミ: 「ダットくんは今日世界を変えたんだよ」
ダット: 「ボクが?」
エイミ: 「そうやって外国の人のこと知ろうとする。友達になろうとする。みんながそうしていけば世界は変わるよ。みんなが国じゃなくてその人として生きれる世界になるよ」
( ダット。エイミに手を差し出す)
ダット: 「エイミさん。あなたを尊敬します。心からです」
エイミ: 「ダットくん。ドォシャーリー… ありがとう」
ダット: 「エイミさん。カームオン… ありがとう!」
( 二人手をつないで元気よく退場)
( 数ヶ月後。放課後。教室の中)
ダット: 「みんな聞いて!二週間の後ボクの家で第三回目!ベトナムホームパーティーします!」
ミナト: 「ダット!今回ブンチャーは食べられますか!?」
ダット: 「もちろんです!今回、生春巻きとクウシン菜のニンニクいためもついてくるよ!」
ユア: 「やったー!ワタシベトナム料理大好き!」
エイミ: 「ワタシ台わんのルーロー飯( ハン) 持ってきてもいい?お母さん作ってくれると思う」
ミナト: 「ルーロー飯って何?」
イツキ: 「ミナト食べたことないの?エイミのお母さんのルーロー飯マジでおいしいから!」
リツ: 「オレらも山形の伝統料理持ってくるべき?」
ツムギ: 「芋煮とか食べられるかな」
リン: 「芋煮ならいけるんじゃない。なっとう汁は無理そうだけど」
ヒマリ: 「なっとう汁は無理あるわ。わたしも昔は食べられなかった」
ダット: 「え?何?なっとうやめて!あれ無理!においイヤ!」
( チャイムの音)
ミナト: 「オレ外行くわ!ダットとサッカーするから!」
イツキ: 「オレもやる」
ヒマリ: 「ワタシもやる」
エイミ: 「ワタシも」
リン、ツムギ: 「ユアもやろ!」
ユア: 「うん!」
リツ: 「ダット!今日は何のポジションやるの?」
ダット: 「もちろんゴールキーパー!」
ミナト: 「ダットは本当にゴールキーパー好きだな!」
( 子供達笑いながら元気に退場)
( カーテンコール。出演した子供達がみんなで手をつないで登場。次のセリフを歌う。もしくは元気な声で言う)
みんな: 「国がちがってもボクらは友達だよ。同じ人間だから」
ダット: 「その人の国じゃなくてその人自身を見てほしい」
みんな: 「なにもまちがいはないんだよ。正しいこともないんだよ」
ミナト: 「人はそれぞれちがう考えがある」
みんな: 「その考えを知ろうとしてほしい」
ヒマリ: 「助けあおう。笑いあおう」
みんな: 「大好きだから。こわくないから。勇気を出して」
エイミ: 「世界を変えよう!」
ミナト: 「世界」( こぶしを上にあげる)
ヒマリ: 「世界」( こぶしを上にあげる)
ダット: 「世界」( こぶしを上にあげる)
みんな: 「チェンジ!」( みんなでこぶしを上にあげる)
( 外国人役の子も日本人役の子も混ざってみんなでハイタッチをする。そして退場)
おわり
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