僕の揺るぎない学園生活

第1話 対抗祭に向けて

　ここ最近の学園ニュースとしては我が校の周辺にスパイらしき人物がたむろしていることだろう。しかしこれは僕の被害妄想に過ぎないことが十分あり得る。そう、僕はこれほどまでに自分の学校を愛しているのだ。頭の中で校内ニュース番組を立ち上げるくらいには。少々イタい奴に思われるかもしれないが。

　望は平穏な学園生活、この学園が未来永劫この場所に君臨し続けること。そして三年後には集大成として小笠原さんに告白し学園生活のゴールを華々しく迎えることだろう。

　さてスパイに関してだが(他の生徒は誰一人気づいていないが)、学園群の三つの高校の一つ、南成南田学園の生徒であることが、自分調べで割れている。制服は着用していないが、放課後我が校のグランドで練習する陸上部の偵察を熱心に行っているところを目撃したという情報が、一日前の僕から報告されている。何せ、犯人は女子部員を熱心に観察していたようだ。なぜ女子部員限定なのか定かではないが、対抗祭名物のリレー科目の有力選手を偵察しに来たことは明白だ。対抗祭の練習は主に課業時間に行われているのだが、それを知らずに陸上部の練習を見に来たのだろう。何て愚かな奴らだ。しかし陸上部にも有力選手はいるが、リレーの新兵器は一般生徒の中に紛れているものだ。

　しかし許せない。僕がこの学園を代表して、この手で悪事を暴いてやる。この手で衆目に晒してやるのだ。僕は南成南田学園に潜入する！