夢異世界商売で領地経営時々冒険~夢の中からでもどなたからでも買取してます~
MIZAWA
第1章 夢目覚め
第1話 目が覚めたら誰もいなくなってた
ユウ、それが俺の名前。
夢の世界で旅をする。
ずっと寝て過ごしてもなぜかお腹が空かない。
体の筋肉も衰えない。
それが俺のスキル:【夢世界】という力。
ずーっと寝ていたい。
起きていたって良い事は無い。
夢の世界で出会う不思議な人達。
不思議な服装をしている人達。
皆それぞれ夢や希望を持っていて。
夢の中で冒険すると色々な道具を貰える。
コレクションするのが大好きで。
今行ける夢世界にあるすべての物をコレクションしてしまった。
20歳から15年間夢世界を渡り歩き。
何十個の夢世界を攻略しただろうか。
コレクションブックにはあらゆる武器や道具や防具がコレクションされている。
これって現実世界にも持っていけるのだろうか?
やってみた事は無いけど。
夢って最高だ。
ぼんやりと大勢の人達が悲しむ声が聞こえた。
なんだか領主の父親が死んだそうだ。
そんな事はどうでもいい、俺は夢の中で冒険がしたい。
35歳で童貞だけど、夢の中で出会った女性ときっと添い遂げるさ。
そんな事を思っていたんだ。
「がふぅ」
突然のほっぺたに激痛が走る。
記憶がフラッシュパックする。
10歳の頃、こうやって俺が情けない事をすると、ビンタする幼馴染がいて。
とてもかわいい子なんだけど、いつもぷんすか怒っていて。
「ふがっ」
また殴られた。このビンタの仕方は。
「や、やめろ」
ベッドから突然立ち上がる俺に対して、彼女は俺に馬乗りになって何度も何度もビンタを繰り返した。
名前は確かフウだった気がする。
フウは鼻水を垂らして、涙を流しながら何度も何度も俺をビンタした。
「ちょ、まってくれ、何があったのさ」
「何がって、この領地は滅びたのよ、あんた1人だけずっと寝てたけど」
「そうなんだ」
「なんで他人事なの、他の領地に乗っ取られるかもしれないのよ」
「そうか」
「ここは私とあなたと皆の思い出が詰まった場所でしょ」
「そうだけど、俺は夢の世界の方が楽しい」
「いつから、いつからそうなってしまったの」
俺は振り返る。
「父親の期待がおかしくなって、俺は夢に逃げた。夢世界というスキルを習得したのも、そんくらいだったし」
「そうだったのね」
フウの見た目はあの頃と同じように可愛らしかった。
背丈は伸びており、自分と同じくらいの年齢だったはずだが、まだまだ20歳でも通じそうな年齢だった。
結婚はしていないのか、指輪はしていなかった。
「格闘技術の修行が終わって戻ってきたら、こうなってたからパニックになったわよ」
「それはすまない事をしたね」
「それで、どうするのあんたは、良いの放っておいて、あんた寝てるの邪魔されるわよ、他の領地の人が乗っ取りに来たら」
「そうなの?」
「その年齢になってもとぼけてる所は変わらないわね、使われない領地は基本隣の領地が貰う仕組み、王様が言ってるでしょ」
「そうだね、そうか、ならどうしよう、あ、いい事思いついた。俺凄いアイテムを持ってるんだ」
「どこに?」
「ここに、コレクションブック」
手の平に出現したのは一冊の本。
「これとこれがダブってるからと、太陽の剣」
コレクションブックから剣が抜き取られる。
その光景にフウは仰天の眼差しを向けた。
メラメラとぐつぐつと燃え盛る太陽の剣。
「俺は鑑定を覚えていないから、フウ鑑定してみて」
「うん、って嘘でしょS×10ランクよ、国1つ買えるレベル」
「こういったものがいーっぱい俺は持ってるんだ」
「なるほど……」
「後、夢の世界でいくらでも買取する事が出来る。夢の人達が欲しいのはお金じゃなく楽しみという概念だから、まぁ人によるけど、あれを人と言って良いのか謎だけど」
「うーん、それでお金を稼いで、朽ちかけた領地を開拓するとしても、人がいないからお店は王都に出すの?」
「いんや、この領主の館を改造する」
「へぇー」
「人はいないから、俺とフウがちょっくら宣伝冒険してこよう」
「それならいいかも」
「俺は眠ればお腹が膨れる。夢世界で食べる事が出来るからね、フウはどうやって食事取る?」
「私は鞄の中に保存食を持ってきてるからだいじぶ」
「そうか、さて、寝るか」
「ちょっと待ちなさい、あんた寝たらエンドレスだから、先にこの領主の屋敷をリサイクルショップに改装しましょう」
「いいねーちょっと待ってね」
俺はコレクションブックを発動させて。
「全部吸い取って」
次の瞬間、屋敷から全ての物が吸い込まれてしまい。
フウは唖然と見ていたようだ。
「よーし現実世界の物もコレクション出来るんだねー、このコレクションブックを埋めると俺が強くなるからねーそかー夢世界で無双してたけど、こっちではどうなんだろうねー」
「なんかあんたが怖くなってきたわよ」
辺境領主。
ダメでぐーたらな領主は実は最強説が浮き上がった瞬間であった。
どこかの夢世界から得たである、ラヂオと言う物を流している状態。
なぜか電波が届いて、音楽がひたすら流れている。
俺とフウはノリノリになりながら、コレクションブックが吐き出すテーブルや武器、防具、道具、アイテム、本、などを並べる棚やらを設置していく。
「あんた、どんだけコレクションブックにコレクションしているのよ、勇者が持つであろうアイテムボックス並みよ、使い方間違ってる気がするけど」
「まぁアイテムボックスとしての役割ではないよ、コレクションすると俺が強くなるから」
2人はそんな事を言いあいながら。
壮大で小さな領地に2人だけの人口。
まるで無人島に漂着してしまったかのように。
2人は領主の屋敷をリサイクルドリームショップに改装したのであった。
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