第3話 奴隷の業務
「ふぅ、上がりましたよ」
「あ、高嶺さん。もうちょっと待っ……⁉︎」
シャワーから出た高嶺さんは……おっきなブカブカのTシャツ1枚だった。
ついついほっそりとした白い太ももを凝視してしまう。
「……♪」
そんな私の視線に気付いたのか、高嶺さんは蠱惑的な笑みを浮かべながらシャツの裾をゆっくりと持ち上げて……⁉︎
「ちょ、ちょ……っ!」
「ふふ、履いてますよ? 残念でしたね」
「……ふぇ?」
見ると、確かに高嶺さんの白い太もも……いや、お股はショートパンツに包まれていた。
それにしたって短すぎると思う。
「それで、夕食はなんですか?」
「あ、時間が無かったのでレトルトカレーにしようかと」
「……はぁ〜〜〜……っ」
「ひぃっ⁉︎ だ、ダメでしたか……?」
「レトルトはあくまで非常用です。これでは何の為に奴隷を雇ったか分からないではないですか」
「す、すみません……!」
「……まぁ、私の時間を考慮した結果なので強くは言いません。
ですが明日からはきちんと調理するように」
「は、はい!」
「よろしい。では夕食としましょう」
高嶺さんと並んでご飯を食べた。
レトルトでも美味しいと思うんだけどなぁ……という言葉はカレーと共に飲み込んだ。
その後明日の業務……料理の他にも掃除などの家事全般を言い渡された。
「あぁ、それと……私朝はご飯派なので、ひな子は私より早く起きてご飯を炊きなさい」
「はいっ!」
起きれるかなぁ……
※※※※※
起きれた。
ブラック企業に勤めていた今までよりもぐっすり眠れた気がする。
さて、ご飯の準備!
「お米研ぎ研ぎ〜♪」
目覚めの良い朝が久しぶりなせいか、ついつい口ずさんでしまう。
炊飯器にセットしたら次はお味噌汁。お味噌汁の具材は大根とお豆腐。
あとは魚をグリルにセットして……
「おはようございます……」
「おはようございます! すぐに出来るので座って待ってて下さい」
「えぇ……」
眠そうに目を擦りながら高嶺さんがやってきた。
こうやって見ると本当に普通の女の子にしか見えないなぁ……
そんな事を考えているとあっという間に朝ご飯の準備が出来た。
「はいどうぞ」
「いただきます……」
今日の朝食は鮭の塩焼きに味噌汁とお漬物、それから白いご飯。シンプルな和食。
「ん、美味しいです」
「良かった……」
食べてる内に覚醒してきたのか高嶺さんの顔もしゃっきりしてきた。
そう言えば……
「私の前の職場ってどうなりましたかね……?」
「辞める旨はこちらから伝えてあります」
「ですよねー……」
奴隷から解放されたらまた就活かぁ……
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまです! 食器下げちゃいますね!」
お茶碗やお皿を下げて洗い物を済ませる。
その間に高嶺さんは自室に戻ったけど、出てきたらセーラー服を身に纏っていた。
「……制服⁉︎」
「何を驚いているんです? 学生なのだから当たり前でしょう」
若いとは思ってたけどまさかの現役JKだった。
幾ら組長の身内(?)とはいえ高校生でヤクザの幹部だなんて……
「私はそろそろ出ます。学校が終わったらそのまま事務所に直行するので帰りは遅くなります」
「はいっ!」
「外出や買い出しは自由ですがくれぐれも逃げようなどとは考えないように。
当然、炊事洗濯等の家事も欠かさずに」
「承知しております! あの、ですが……」
「なにか?」
「外出するには、その……首輪が……」
「なんです? まさか奴隷の分際で外してほしい、などと言うつもりでは無いでしょうね?」
「めめめ滅相もない……!」
「……まぁ、マフラーやストールで隠す事は許可します」
「あ、ありがとうございます……っ!」
「それと、テレビ下の棚にエクササイズのゲームがあります。
それで適度に運動しなさい。スタイル維持も奴隷としての責務ですよ」
「分かりました!」
「では、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ!」
パタンと玄関のドアが閉まり、高嶺さんの姿は見えなくなった。
※※※※※
「ふぅ……一段落」
掃除や洗濯を終えた。
どうにかこうにか買い物も済ませた。
さて……
「やってみるか、リング……!」
ゲームを起動。
リング型のコントローラーをグニュグニュ動かして設定。
高嶺さん私にはああ言っておいて自分は殆どやってない……まぁ良いけど。
『腰を落として……』
「ふぬぬぬぬぬ……」
『ゆっくり腰を上げてー……』
「ぬおおおおおおおおお!」
『いえーい! 大成功!』
「……はぁっ、はぁっ! 終わった……!」
たかがゲームだと侮っていた。
今までスポーツなんてした事が無い私には物凄くキツい……っ!
『初ゴールおめでとう⭐︎』
「お、おぉ……? あは、あははっ」
ガッツリ汗をかいたのでシャワーを浴び、細かい仕事をしていたらもうすっかり夜だ。
そろそろ高嶺さんが帰ってくる。
急いで晩ご飯の準備をしなきゃ! 何が良いんだろ……
若いから揚げ物でも平気でしょ。トンカツにしよう。
「ふんふんふふーん♪」
「ただいま帰りました。……揚げ物ですか?」
「あ、お帰りなさい! はい、トンカツにしようかと」
「結構。手を洗ってきます」
「はーい!」
高嶺さん、揚げ物イケる口らしい。良かった!
トンカツの付け合わせは千切りキャベツとトマトとポテトサラダ。
それとお味噌汁。お味噌汁の具材は適当にシジミ!
「……いただきます」
お上品な振る舞いでトンカツを一口食べる……うわぁなんか緊張する……
「?、どうしましたか?」
「いえ! あ、ど、どうですか……⁉︎」
「普通に美味しいですよ。見た目で選んだので料理の腕が良いのは嬉しい誤算ですね」
「上手いって程ではありませんが……料理なら手慣れてるので」
「思わぬ収穫ですね」
その後もお上品な動作でトンカツ定食なメニューを平らげた高嶺さん。
お許しが出たので一緒に食べたけど、私の方が先に食べ終わっちゃった。
「さて、ひな子」
「はい」
「私はこれから歯を磨いてお風呂に入ります」
「はい……?」
「終わったら貴女もシャワーを浴びて私の部屋に来なさい。
服はバスローブ。下着の着用は必要ありません」
「ま、まさか……」
「今日、ひな子を抱きます。夜伽も貴女の仕事です。良いですね?」
「は、はいっ」
「宜しい」
そう言って高嶺さんは洗面台の方に消えていった。
だ、抱かれるんだ……今日、高嶺さんに……っ!
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