第39話 サーカス
「着きマーシたよ‼︎ギルティくーん」
ベルサンスにつれられ辿り着いた場所は高さが揃った綺麗な芝生広場…が元の姿なのだろうが
「荷台だらけですね」
何十台もの荷台が置かれどれ程の広さか把握できず荷台が通った跡が芝生の高さを変えガタガタであった。
「32台あってその内17台に仕事道具が乗っていマース。そして、10台は移動用、残り5台には食品が乗っていマース…あとの説明はリーダーに任セーマしょう」
ベルサンスはごそごそと服の内ポケットを漁ると細い何かを取り出し口にくわえる、そして
ピュィィィィィン‼
と耳の中で甲高い音が響きわたる
ベルサンスが細い何かを口を離すがだ少し音が聞こえているような気がする
音が小さくなってきたころ大量の荷台の間をすり抜け細身の少年がこちらへ走ってくる。そして、
「お呼びでしょうか、団長」
と礼儀正しそうにベルサンスと俺に一礼をした
「彼を皆さんのモートヘ、自己紹介が終わりシーダいシゴートに取り掛かってくダーサい」
「わかりました。では、そちらの方こちらへ」
恐らく俺より年下なのにハキハキとした少年に少し驚きながらも再び人の後ろをついて行く
「お先にお名前を伺っても?」
「ギルティです」
「…分かりました。今日からよろしくお願いします。『運搬』のギルティさん」
うーん、どうにも騙している様で心がムズムズするが、用意してくれた仕事だしバレない様に一生懸命働かなければ…
小さい体のおかげかスルスルと隙間を抜けて行く少年に何とかついて行くと少し開けた場所へと到着する。何やら準備をしている人達がチラホラと見える。それに向け前方にいる彼が
「みんなー!集合ー‼︎」
と叫ぶ。それに反応した人達がゾロゾロと集まってきて…
「……17、18。よし」
どうやら18人、目の前の少年を含め19人の少年少女がサーカスで働いている様だった
「みんな、この人がロンランの代わりに来てくれたギルティさんだ。キチンと名前を覚える様に」
身長、1人1人の反応から所々幼さを感じる。皆、11から12歳程だろうか?そんな事を考えていると
「では、ギルティさん。1人1人紹介するのでしっかり覚えてくださいね」
と仕事前に地獄を見る事になりそうだ
「…以上が全員の名前になります…大丈夫ですか、ギルティさん?」
「…えぇ、なんとか」
最初の方の目の前の少年リーダーのレン、ブランコ担当のジョン、レノファ、ミスティを過ぎたあたりから覚えるのを諦めた。なんか大回転台だの猛獣使いだの火の操り人だのと色々と担当を聞かせてもらったが名前だけはどうにも頭に入ってこない。まぁ、仕事をしながらちまちまと覚えるとしよう
「さぁ、自己紹介も終わったしみんなはまた準備しててね。ギルティさんはこちらへ」
再びの移動、他の子供達は筋肉トレーニングや何かの演目の練習を始めていた。さて、俺は何をさせられるのか…
少し大きめの荷台前
「早速ですがこの中の荷物をさっきの広場まで運んでくれますか?」
荷台に積み込まれていた硬い筒の束、一本一本は軽くとも数えきれない数運ばなければならないというのは…これはどうやら大変な仕事になりそうだ。そう、感じながらも荷台から筒を10本取り出し担いだ俺なのであった。
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