無能の俺が目指す場所
ニガムシ
序章
プロローグ
目の前にアナログテレビが置いてあった。それ以外は何もない真っ白な空間
何の感情も抱かずテレビを見ていた。いや、それから目を離せなかったの方が正しいだろうか?ただ真っ暗なテレビの画面を眺め続ける。
ザァ―――――――
急にテレビの画面が明るくなり砂嵐が流れ始めた。音1つしなかった部屋にその音だけが響き渡る。なんの反応も示さず砂嵐の画面を見続ける。すると、
「あー、あーマイクテス、マイクテス。大丈夫かな?」
と砂嵐の中から女性の声が聞こえてきた。砂嵐がうるさかったが女性の声ははっきりと聞こえてくる。しばらくすると
「よし、じゃあ。始めようか」
という言葉と共に画面が切り替わる
「やぁ、皆さん初めまして」
画面に映っているのは黒のスーツを着てシルクハットを被った女性。彼女が深々とお辞儀をすると話し始める。
「僕の名前はセレンミタス、誰にも名前を知られていない神だよ」
ニコッと口角を上げているがとても笑顔には見えない。下手糞な作り笑顔だ。
「さて、早速ですが。皆さん今の世界は面白いですか?」
彼女が言いたいことがいまいち分からない
「この世界には色々な世界があります。どの世界でも1人の人間が神に等しき力を持ち、世界を牛耳っている…実につまらない」
そう真顔で言う彼女の顔にはどこか恐ろしいものを感じれる。
「だから、作ろうと思うんだ。神に等しき人間がいない世界を」
何処か嬉しそうに彼女は語る。
「でも、人間以外の生物がいないとやっぱり面白くないですし、人間を弱くし過ぎると強い生物に支配されるから…」
そして、彼女は何かボードの様な物をいじり
「よし、完成した」
と顔が一気に明るくなる。まだ、下手糞な作り笑顔だが。
「さぁ」
彼女の声色が変わる。
「君たちが今から見るのは才能に溢れた人間の世界だ。剣や魔法というシンプルなもので人間たちは巨大で強大な敵に挑む。ありきたりだけど神に匹敵する人間がいないというのは…それもまた白熱した戦いが見れて面白いと思うんだ」
そして彼女はニヤリと笑う。
「まぁ、僕は完璧な神じゃないからね。神に匹敵する人間はいなくとも、その世界に適していない人間は産まれちゃうかもねー」
彼女の言葉はわざとらしいとしか言い表せなかった。
「さぁ、新しい
彼女は指を鳴らし、テレビが消える。そして、全てが暗く闇の中に落ちて行った。
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