第3話

 カロンにより、貢献度の説明を受けた。

 俺達のようにこの場所に呼ばれた救世主達には、それぞれ貢献度がポイントとして記録されるらしく、そのポイントに応じて奇跡が起こせるのだとか。

 例えば、ここに連れてこられた時間に合わせて地球に戻るとか、同じ両親から生まれ変われるとか。

 で、ゴミ呼ばわりされた俺の貢献度はもちろんゼロポイントなので、なんの奇跡も起こせない。

 今こうして両親を選ばせてくれているのは、カロン自身のポイントを消費して起こす奇跡らしい。

 何故俺の為にそこまで?と思ったが、転移させられた者の満足度がそのままカロンの貢献度に繋がるらしい。

 つまり、両親を選んで転生させる奇跡の消費ポイントより、両親を選んで転生できる満足度の方が大きいらしいのだ。

 後、大体の人間は今世の記憶を持ったまま転生できると知った後は、満足度がある程度高くなるものらしい。

 俺の場合はマイナスになったんだけど、これカロン大丈夫なのか?

 「俺さ、今週末に彼女とのデートで結構幸せモードの中ここに拉致されたんだよ。で、転生だろ?その時点で満足度なんてゼロ……マイナスなんだよ。で、そんな記憶を持ったまま転生とか地獄なんだけど、カロンの貢献度マイナスになる?」

 パサリと資料を落とすカロン。

 「そう……ですか……」

 あぁ~、マイナスになるようだ。

 自分のポイント稼ぎという理由はあった訳だけど、それでも希望を聞こうとしてくれたカロンのポイントは1でも良いからプラスにしたい。

 だけど、具体的にどうすりゃ満足度って上がるんだ?

 俺は既にあの羽有女に殺された訳だから、他の世界に行って勇者としてーってことも出来ないし、そもそもそんな才能が微塵にもなかったからゴミ扱いだった訳で……。

 満足するまでこの場に留まるって方法はどうだろう?

 もういいやーってなるまでここにいるんだから、満足したともいえるよな?

 そうと決まれば心行くまで居座ろう。

 「えっと、手伝えることとか……ない?」

 「……え?」

 ちょっと説明不足だったな、ちゃんと説明しよう。

 「満足度上がるまでここで待機しようかなーと思って。でもただジッとしとくのって暇だろ?だから、手伝えることがあったらなーって」

 ここにあるルールってのを理解できれば、もっといい方法があるかも知れないし?それにカロンは俺達のクラスを任されたとか言ってたから、多分全員分のポイント管理とかもする筈だ。

 ポイントって貢献度によってつけられるんだから、ここにいれば皆がどんな風に過ごしているのかもわかると思う。

 うん、クラス1番の脱落者としてせめてゴミと認定された皆の行く末くらいは知っておきたい。

 「えっと……では、あの、少し待ってください」

 困った表情のまま部屋を出て行ったカロンは、それからしばらく戻ってこなかった。

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