選別

勝利だギューちゃん

第1話

「次の者前へ」


だんだんと僕の番が近づいてくる。

前の人数は、だんだんと少なくなっている。


老若男女いろいろだ。


僕は数日前に、命を落とした。

事故や殺人でいきなり死んだのではなく、病気で命を落とした。


未練がないといえば噓になるが、悔いはない。


どうやら、天国か地獄の選別だな。

生き返るということは、ない。


「次の者まえへ」

僕の番だ。


まあ、地獄だな。

何もいいことしなかったし。


「そのほうか・・・」

「あなたが閻魔さんですか?」

「いかにも」


随分と好々爺だな。

もっと、髭面のがたいのでかいおっさんかと。


「それは、おぬしたち人間が勝手に想像した姿だ」


確かに見たことないものは想像するしかないが、閻魔自体はいたんだ。


「そのほうは、山田太郎で間違いないな」

「はい」

「ありきたりだな」

「僕のせいじゃない」


パラパラとみる。


「よし、おぬしは・・・」

「地獄ですね」

「なぜ、そう思う?」

「何もいいことしなかったから」

「自覚はあるんだ。たが違う」


なら、天国か?

意外だな。


「実は今は、地獄が定員がいっぱいでな」

「拡張工事をすれば」

「費用がない」

「税金でとれば?」

「どこぞの国の無能な政治家といっしょにするんでない」


怒らなくても・・・


「そんなわけで、時間を巻き戻すから、もう少し生きてくれ」

「面倒くさい」

「皆、よろこぶぞ」

「皆は皆。僕は僕」

「わがままな魂じゃな」


どっちがだ。


「ところで、他の魂のみなさんは?」

「火葬がまだの者はそのまま生き返らせて、火葬されたものは過去に返した」

「どのくらい?」

「100万人は超えてるかな」


こらこら。


「で、いつがよい?」

「それは・・・」


「・・・起きろ」

グーグー

「山田、起きろ」

「ほえ?」

「ほえじゃない」


辺りを見回す。

ここは、教室だな。

高校時代の。


長い夢を見ていたようだ。


さてと・・・

そろそろ世界を変えますか。

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選別 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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