サモナーズ・クラン

あに

第1話 おじさん


 おじさんは頑張っている。そりゃそうだ、家族がいようが独り身だろうがおじさんは頑張るしかないのだ。

 だが今は何を頑張ると言うのだ?

 そりゃ俺は独り身で何も守るものなんてないが人一倍頑張ってきたと思うのだが、これはどう言うことだ。


「おっさん、何してんだ?」

 若者がおっさんをおっさん呼ばわり。まぁいいけどさ。もっと言い方があるだろ?

「おっさんあれじゃね?巻き込まれってやつじゃね?」

「ならすげえ特殊なの持ってるとか?」

 えっ?なにが?

「まさか?おっさんだからしょうがないんじゃね?」

「とりあえずここから出ようか?」

「ほらおっさんも、置いてくぞ」

「あ、あぁ、今行くよ」

 若者についていくと、

「うわぁ。すげぇな!」

「うぉ、草原じゃん!」

 地下から出ると大草原だった。


「おっさんも早く外に出ろって」

「あ、あぁ、ありがとう」

 手を掴んで引っ張り上げてくれる。

 ヤンキーみたいなのにすごい優しいな。

「あっ、なんか探してるみたいだぞ?」

「おーい!」

「あ、気付いて走ってくるじゃん」

 騎士のような人が走ってくる。

「初めまして勇者様方、お迎えが遅くなり申し訳ありません」

「ゆ。勇者?」

「おっさんしらねぇの?異世界ものとか知らない感じ?」

「あ、あぁ、なんかあったな、そう言う話が」

 会社の若い子が言ってたな。異世界行きてぇ!とかって。

「んで俺らの中で誰かが勇者なわけだ」

「そ、そうなんだ」

「大丈夫、おっさんじゃないって」

「う、うん、わかってる」

「では勇者様方、こちらへ、ついてきてください」

「んじゃ行こうか!」

「あー、俺なんだろ?」

「てゆーかこの構成だとあーしが聖女?」

「「だろうな」」

 みんなこの感じに慣れてるみたいだな。

 おじさんはついていけないよ。


 それで騎士についていくとお城に着いた。

「おおー、城じゃん!」

「すげぇな!」

「でっけぇ」

「ふおー」

「なんだよおっさんフォーって!」

「「あははは」」

「いやついね」

「あははは、大丈夫だって」

「とりあえず着いてこーぜ」

 と着いていくと王様の前に来たので片膝をつくと、

「何やってんのおっさん?」

「え?王様の前ってこうするんじゃなかったかな?」

「そうなん?まあ、俺ら知らねーしいいんじゃね?」

「そうそう、ほら立って」

「あ、あぁ」

 俺も立つと王様は怪訝そうな顔をするが話が始まる。

「皆の者、よく聞いてほしい、今我が王国に未曾有の危機が迫っておる。魔王らが蘇ったのだ」

 と長々喋ってるが要点をかい摘むと魔王という悪者が出たから勇者を召喚した。だから魔王を倒してくれだ。

「では選定の儀を行う、水晶を前へ」


「よっしゃ!とりあえず俺が一番な!」

「んじゃ2番!」

「じゃあ俺最後!

「お、おれも?」

「当たり前じゃん」

「おっさん3番ね」


「んじゃ俺から」

 触ると白い光が眩く辺りを照らす。

「おっ!俺は勇者だぜ」

 今度は女の子が触ると緑の光が辺りを包む。

「あーしは聖女」

「お、俺の番か」

「おっさんがんばれ!」

 俺が触ると虹の光だ。

「お。俺はボックスだって」

「いいじゃん!」

「あははは、なに?ボックスって!」

「あはは」

「んじゃ俺が最後な!」

 虹色の光が最後の子を纏うと。

「うっし!賢者だぜ」

「これ全員当たりじゃね?」

「な!やっぱ巻き込まれってすげえんだって」

「なんだろうな?激アツだな」

「では勇者の方々はお召替えをお願いします」

「おう!」

「はーい!」


 みんな着替えに行ったが俺だけ取り残された。

「ボックスとは何かな?」

「えーと、わかりません、箱みたいな感じですかね?」

「なら革の鎧なんかでいいだろ」

 と連れて行かれて着替えさせられる。

「あ、おっさん普通じゃね?」

「なんかなかったのかよ?」

「まぁ。黒で統一してるのはいいかもしれないけどな」


 俺の格好は黒の胸当てに黒のブーツに黒い服だ。ぜんしんまっくろだな?

「では勇者達は魔王を倒しにいくがいい、その方は…金貨10枚を与えるのでこの町で待っていればいい!」

「えー、おっさんも一緒にいこうぜ?」

「い、いや俺は」

「いいじゃん!おっさんはおっさんで頑張るって!」

「箱が気になるけどな」

「はぁ、はい!」

「そうだな、おっさん頑張れよ」

「みんなも頑張ってね」

「「「おう!」」」



 そうして勇者たちは去っていって俺は金貨10枚をもらい外に放り出された。

 さて。まずは宿から探そうかな。

 あとボックスって何ができるんだ?

 あっ!そうだった!困ったときはステータスって言えって言われたんだ!

「ステータス」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 栗原 晴クリハラハル  35歳

 レベル1 職業 無職

 スキル 抽選

 ユニーク ボックス 異世界言語

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ほうほう、これがステータスか、

 抽選?とりあえず抽選!

 箱が出てきて手を突っ込むところがある。

 手を突っ込むと、カプセルのようなものがあるな。どれ一つ取り出すと。

 普通のカプセルだな。

 開けると『ショップ』?

 なんだこれは?

 とりあえずショップを、と思ってみるとネットショップの様な画面が出てくるのでチャージは?金貨を近づけると吸い込まれて三十万円とでている。

 おお!これで買い物ができるのか!

「ってとりあえず住むところを確保しないと!」

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