思いつくままに

月神 奏空

時計ちゃんの一生

けして狂うことなく正確に一定のリズムを刻む私の鼓動を彼女は秒と呼ぶ。

鼓動に合わせて六度ずつずらして数字を指差していく私を彼女は時を計る者──【時計】と呼んだ。

必要とされることが嬉しかった。

私は毎日彼女のために休むことなく正確に指を差していた。それなのに。

「時計ズレてんじゃん」

気ままに思いついた数字を表示するだけの彼を見ながら彼女は私に不満をぶつけてきた。

どうして。

私は間違ってなんかいないのに。

いつどんな時だって彼女の気を惹く彼が私を嘲笑う。

「ざまあねえな、時計ちゃん」

私は心臓を抜かれて殺されてしまうのだろう。

あなたなんか、生まれなければよかったのに。

そうすれば、私はもっと──

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