十五章 パラグラフリーディング

 藤堂は車中、工藤葵の話をした。意図的に事件と関係のない話をした。成海をリラックスさせる。おかげで、ホテルにかえって、すぐに眠ることができた。

 成海は翌朝、葵といっしょに、取材へと出かける。地下鉄博物館、江戸川競艇場、小岩菖蒲園をまわった。午前中の取材が終わり、葵とわかれた。藤堂と合流する。藤堂の車には、所轄の刑事である沼田がいた。沼田は流血の金魚祭りの被害者、大石の婚約者と会うことになっていた。東京駅に到着する。三人で木村早苗と会った。

 当時の話をきいた。やはり、大石と寺崎は友人同士だった。しかも、大石が殺されたことで、寺崎がイノベーション室の研究員に選ばれていた。寺崎は早苗に気があったらしい。恋敵の大石を殺害する動機として、十分だった。じっさいに、金魚祭りに大石を呼び出したのも寺崎だった。寺崎が流血の金魚祭りにかかわっていることが確認される。

 いっぽうで、成海は直接、大石を殺害した人物は、三浦だと言った。藤堂はどうして、三浦の名前が出てきたのか、わからなかった。

 成海に、その理由を問いただすのだった。

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