まだら雲の隙間から

梅林 冬実

まだら雲の隙間から

まだら雲の隙間から青が覗く。

きれいだ、とても。

僕はとても気分が良くて、だからこうして空を仰ぎ風に吹かれている。


秋、深し


余韻に浸るに今日のような日和はぴったりだ。春から数えて3つ目の季節に彩られる景色に身を投じ、紅葉に染まる。


僕は雲の上にいる。不思議だよね。僕は死んだんだけどそのお陰で、小さい頃の夢を叶えることができたんだから。

雲の色は様々だ。仰いだ空に浮かぶ雲は大概白だったんだけど、純白に敢えて墨を垂らたような色もあるし、帯電しビリビリ音を立てオレンジの閃光を瞬間放つ、嫌な雲もある。そんなものの上は、歩かないけどさ。

ふわふわしていると思い込んでいた雲は、歩いても何の感触も足に伝わってこなくて僕はそれに物足りなさを感じて、雲の切れ間に足をかけてみたんだけど、やはり何の感触もなくて。オリフィエルにそう伝えたら

「そりゃね」

とにべもなかった。

「そりゃね、って何だよ。ふわふわでも硬くもない地面って気持ち悪いって言ってるの」

僕の不満をオリフィエルは軽くあしらう。

「そんなものから解放された君自身を楽しみなよ」

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