第4話赤い世界

リカは真っ暗なトンネルの中にいた。

目の前には真っ赤な扉。

リカはそうするべくその扉を開けようと扉についている取手を手にした。

しかし、それは扉型の自動ドアでリカが近づくと

「認証しました」

という音声と共にドアが右にスライドしていった。

リカはその先に歩き出した。

中に進むと部屋が見えた。

物が何も置いていない部屋。

そこは殺風景だが、異空間を醸し出している。

なぜならば全てが赤い。壁も天井も。

リカは吸い寄せられたかのように、部屋のなかにはいる。

それらはギャラリーのような、アートな雰囲気を醸し出している。

突然光がさし、それと共に人影が見えた。

リカは眩しかったので一瞬目を瞑るが、直ぐに光は収まり目を開けた。

リカの前には白髪の丸眼鏡をかけた老人が笑顔でたっていた。

デニムにTシャツ。シンプルな装いのおじいさん。

手にはリンゴを持っている。

「ようこそ。リカさん。マーズルームへ!そして二十歳のバースデーおめでとう」

リカはポカーンとする。

誰?

というかここはどこ?夢だよね?

リカの心を読んだかのように、その老人は続ける。

「突然だから驚いておるようじゃけど、夢ではない。まあ、半分夢だが夢ではない。VRのような・・。

夢を見ている間に意識を分離してこちらに来てもらってるのじゃ。本来なら、リカさんはこちら側の人間なんじゃが・・」

何を言っているのか意味不明だが、夢であり夢じゃないらしい。

「二十歳になったであろう。ようやく任務を遂行できる。リカさんは二十年間、地球人を色々見てきたじゃろう。地球人の特性を学んだはずじゃ。ようやく審査ができるということじゃな」

笑顔を崩さず、その老人が言う。

「おっと、これはプレゼントじゃ」

そう言って赤い腕時計をリカに渡した。

その時計をリカは受け取った。

真っ赤な時計。液晶が長方形でアップルウォッチのようだ。

ディスプレイには暗号めいた数字や英語がたくさん表示されている。

液晶を見た。

299792458...


西暦でもなく、なんの数列だろう?

これ本当に時計?

そう思った時にまた光が射した。

「そろそろ行かねば。わしも忙しいもんでのう。

またすぐに会える。おめでとう。リカさん」

七色の光に包まれた。

***

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