第17話 過日の授業風景2

「感情と心と精神とは、精霊種において別々に数えられる。どうしてだろう」

「……そういうことになってるから、そうなんじゃないの? 近理精霊種の領分でしょ?」

「疑問を持つことはいいことですよ」


 クラッカは微笑んでもう一度二人を見る。


「そう。例えば精神と心の違い。心と感情の違いとは精霊種ならではの違いになります」

「どう思うセルーナ」

「まだ全然分かってない」


 ハイシアは片割れの顔を見ながら、髪をいじった。実を言えば、答えはすでに頭の中にある。

 頭――肉体に依存する感じ方を感情と呼び、俗に魂と呼び表される器官を通して出力される感じ方を心と呼ぶ。目だけでクラッカを見れば、白髪交じりの家庭教師が満足そうに笑った。


「あー! 兄さんもう分かってるでしょう! ちょっと待って考えるから」

「うん。待ってる」


 頭の後ろで手を結びながら、ハイシアは天井を見る。

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