僕と少年英雄たちの異世界レジスタンス〜現実世界から追放された僕たちは異世界で人々を救う英雄になる
藍枝 碧葉
第0話 東京アイソレーション
◇◆◇
『──緊急速報です。つい先程、東京二十三区が突如発生した原因不明の光の壁により往来及び、通信が不可能になったの情報が入りました。なお、現在、東京の放送局からの発信が途絶えているため、大阪のスタジオより放送しております』
その日、東京──いや、日本は大混乱に陥った。
突然の首都
政治、経済はパニック状態へと陥り、その影響は日本各地隅々にまで津波のように押し寄せた。
だが、もっとも深刻だったのは、外の地域から
「か、怪物だぁっ!」
「剣を持った外国人が急に襲いかかってきたのっ!」
「変な人が手から炎を出してあちこちに火をつけて──!!」
「警察は、自衛隊はどうしたのっ!?」
突如、各所から現れた怪物や見慣れない
そんな非現実的な存在が、東京の街を
まさに悪夢としか言いようのない光景が繰り広げられている。
「ええぃ、いったい何が起きておるのだっ!」
首相官邸の地下にある一室で、初老の男性──日本国総理大臣が声を荒げていた。
官房長官が額の汗を拭きつつ、秘書官からの報告を受け取り、そのまま首相へと手渡していく。
「完全に東京二十三区外との連絡は遮断されてしまっているようです。電力網も遮断され、自家発電などの設備がある施設も時間の問題と思われますし、太陽光発電にも限界はあります。このまま対策が遅れますと、大惨事を招きかねません……」
「都知事は何をしておるのだ!? 早く回線をつなげ──っ!?」
激しい衝撃波が室内に
首相や官房長官、その他の政治家や官僚たちの身体が激しく吹き飛ばされていく。
「この国の王がここにいると聞いたが──どれだ?」
その問いかけに、襟首を掴まれた官僚のひとりが壁際に崩れ落ちた首相を指さした。
白目を剥いて首はありえない方向に曲がっている。
「ふむ──」
金髪の美青年はチラリと一瞥しただけで、すぐに興味を失ったかのように、壁に埋め込まれたモニタへと視線を向ける。
そこにはちょうど回線が繋がったのか、ひとりの女性の姿が映っており、《東京都知事》という字幕が表示されていた。
室内の惨状に絶句している都知事に対し、美青年は
◇◆◇
「ここは──羽田空港!?」
僕は思わず絶句してしまった。
広大なターミナルビル内には無数の
視界の端で女の子が足をもつれさせて転んでしまい、両親が慌てて駆け戻る──そこへ、黒い虎のような魔獣が飛びかかっていく。
「──!!」
反射的に僕はその親子を
「ぎゃおぉっ!」
牙を剥いて飛びかかってくる魔獣、だが、次の瞬間、その魔獣は僕の目の前で見えない壁に吸い込まれるように消滅してしまった。
「……あ、あなたはいったい?」
感謝しつつも怯えたような表情で問いかけてくる父親に、僕はごまかすように笑ってみせる。
「とりえず、ケガはないみたいですね、よかった。あとは──」
「あとは私たちに任せてください」
そう言って、前に進み出たのは中世ファンタジー風の衣装を身に
そして、さらに七人の少年が横に並ぶ。
「みんな、お願い──頼んだ!」
「おう! 頼まれた!」
黒髪をざんばらにした少年が
他の少年たちもそれぞれ特殊能力を発揮し、みるみるうちにターミナルビル内の魔獣を一掃し、傷ついた人々を癒していく。
「あ、あなたたちはいったい……?」
再びの問いかけに、僕は少し考えてから答えた。
「僕──僕たちは《
そう言いつつ、状況を忘れて照れてしまう僕。やっぱり自分のことを聖戦士とか紹介するのは気恥ずかしい。
《九星の聖戦士》──異世界《ステラスブルートルム大陸》へと召喚された僕を含めた地球の九人の少年たち。
今までは異世界を《
その結果が、この現状だったりする。
「この状況、どうすればいいのか──」
僕は窓の外に広がる滑走路、その向こうに広がる首都東京に視線を向ける。
おそらく、この羽田空港と同じように《魔皇軍》や魔獣たちの脅威にさらされているのではないか。
「……情報が足りないな」
やや長めの髪の毛を後ろでまとめている物静かな少年──《九星の聖戦士》の仲間のひとりが声をかけてくる。
「うん、テレビの情報だと東京二十三区──この巨大な街全体が《魔皇》軍や魔獣たちの被害に遭っているみたいだ」
辛うじて電力を確保できているのか、待合室にあるテレビの中では、
「とりあえず、この空港にいる人たちの安全を確保しよう。まずはそこからだ」
僕、
だけど、異世界で《九星の聖戦士》のひとりとして選ばれ、異世界の人々のために戦いの中へと身を投じることになる。
そして、今、ふたたびこの世界に戻った僕──僕たち《九星の聖戦士》は現実世界の人々を救うため、新たな戦いへと向かう。
これは、現代世界《日本》と異世界《ステラスブルートルム大陸》、二つの世界にまたがる壮大な物語──
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