第38話びっくうぇいぶ
問題の試験店がオープンしたのだが、そんなに人は並んでいなかった。
前日からのSNS宣伝では思ったように集客できなかったようだった。
僕はグルチャに来るなら今の内だ人が少ないぞと悲しいメッセージを送っておいた。
ぞろぞろと男集団が来店するので僕が接客した。
「飲み物は好きに選んでいいよ!フード食べるでしょ?僕がとっておきの注文しておくから期待しててね!」
「おいおい、この店は勝手に店員がメニューを選ぶのか?」
とやれやれ声の加藤くんである。
やれやれボイスなのに目には期待があふれているのだから面白い。
僕は、クリームやソースの増減など無料でできるし何なら追加トッピングも可能だという説明をしたら、皆好き好きに注文していったようだ。
それ1杯でラーメンくらいあるんだぜ?と僕は彼らを見つめていた。
鈴木「うわー!!」
僕が運んでくるフードをみて声を出したのはやはり鈴木くんだった。
シロノアールが人数分目の前に置かれる、だがこれだけでは終わらないのが
極初心者セットの恐ろしいとこである。
ホカホカのパンに冷たいアイスが載っていた。
卓上にシロップポットを置いたので好きにかけ放題である。
シロノアールで苦戦している彼らのもとへカツパンが運び込まれると場が凍り付いた。
「こ、これはさすがに頼み過ぎじゃないか?」
と野口君は山内くんと顔を見合わせているとサラダまで運び込まれてきた。
もうテーブルには置く場所がないくらいぎちぎちなのにさらなるポテトが投入され・・・。
皆はスマホを取り出し写真を撮り始めた。
テーブルを埋め尽くす料理の数々にそのボリュームで悲鳴である。
太郎マシマシが平気な野口君なら食べられるかもしれないが、他は大丈夫だろうか?
僕の心配をよそにまあ、普通の男性でも少し無理をすれば食べられないことはない
そんなボリュームだったようでみんな腹を押させて椅子から動けなくなっていた。
「みんなどうかな?楽しんでもらえた?」
サプライズ成功ににっこにっこな僕
「どうかなじゃないよ!!なんだあの量とデカさ!」
加藤君は大興奮である。
まあそんな様子はばっちり盗撮されているわけで・・・・。
SNSで男子が大はしゃぎされている写真や動画が拡散してしまった。
男子のついでに商品も注目されるという感じで大いにSNSをにぎわせた。
本部でもその様子を確認していて、まさかこんな形でバズるとは想定外に現場はお慌てである。
そう、これから波がくるのだ、普通の波ではないビックウェーブという波が押し寄せてくるのだと今の暇が少しばかりの休憩時間だったかのようなほどすさまじい波が押し寄せるのだと・・・。
SNSの反響は本当に恐ろしかった。
閑古鳥寸前だったのが今じゃ人が並びすぎである。
事前にスタッフを本部が派遣して行列の整理やら誘導などでやりくりがはじまっていた。
ドリンクの客はさばけるがフードとなると回転率が悪い。
テーブル席はかぎられているし、お持ち帰りは出来ない。
作るのにも時間はかかるし提供した後にそれを食べるのかなりの時間を要するだろう
なのでこんな客に対応できるようなフードメニューではないのだ。
ということでフードメニューは封印されドリンク一本化。
僕はひたすらドリンクを作る人になっていた。
作れど作れど終わることないひたすら続く注文だ。
しかも時々カスタマイズされたものが来るのだから間違えたら大惨事である。
一日店長の僕はほぼ裏方作業に追われ午前中のように友人にいたずらを仕掛けて
にんまりしている余裕なんてこれっぽっちもなかった。
タンブラーは即完売した、数量は少なめに作っていたからだが
こんなに売れるとは思ってもみなかったのだろう。
この地獄のような行列は閉店つまり22時まで続いたのだから
休憩とる暇もないスタッフたちは疲れ果てた表情をしていた。
バテバテで閉めの作業をするものだから時間がかかり帰宅は0時を回っていた。
もちろん、僕はそれより早く帰れたけどそれにしてもえらい騒ぎである。
帰りは送迎だけど清浦さんと帰りが一緒になった。
なんというか距離間が測れない。
だっていまだに会話をしてないからね。
「清浦さんは親が迎えに来るの?」
何気ないそう何気なく会話を振ってみたんだ。
「え!?佐々木君っ!!」
なんで清浦さんガチ泣きしてるのさ!
もう、そのあとはふれることなく僕はもやもやしたまま送迎車に乗って帰宅した。
そりゃ学校で何か言われるかびくびくだった。
何も言われてないが何故か注目されているのが逆に怖いのですが。
朝っぱらからグルチャがうるさいなと思えば、僕に関係ある話だったか。
やれやれ困ったものだ・・・。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
ということで不定期更新版です。
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