第6話 依頼と出会い

ギルドのカウンターで基本的な説明を聞いたあと、私とリンはどの依頼を受けるか相談していた。


「うーん…Fランクが受けられるのは薬草つみとかそのぐらいか…」

『まぁ、最初はそんなものだよ

コツコツやっていこう』

「ん?ねぇリリこれ」

『Fランクで…

報酬が銀のコイン30枚?』

「なんの依頼だろう、、、」

『えっと…

森の主、大蛇の鱗の入手?』

「よし!やってみよう!」

『えっ!ちょっとリン!』

「すみません、私たちこの依頼受けたいんですけど」

「はーい…って…あなた達本当にこの依頼を?」

『何が不味かったですか?』

「いえ…ただ、森の主である大蛇はもうずっとその姿を見た人はいないの…

だからほとんど幻と言っても過言ではないくらい難しい依頼よ?

それでも受ける?」

「はい、まぁ大丈夫です!

ね!リリ」

『まぁリンがいいなら…』

「わかりました、、、それでは受理しますね」


森について


「って言っても…

ギルドのお姉さんから入手した情報と言えば大蛇は人間の料理に興味があるってことぐらいだし…」

『う〜ん…』

ぐぅきゅるるるぅ

『…ご飯にする?』

「うん…

お願い出来る?」

『わかった

それじゃあホットサンドでも作ろっか』

「できるの!?」

『まぁ、パンに挟んで焼くだけだからね

具材は何がいい?』

「ハムとチーズとレタス!」

『うん、了解』

『まずは、パンにマヨネーズを塗ります』

「うんうん」

『次にレタス、ハム、チーズ、ハム、レタスの順に乗せます』

「ふむふむ」

『最後に、鉄板で挟んでっと、

炎の魔石で”ファイアー”』

「わっ、本当に使えてる」

『あとは片面ずつ焼いて…』

『完成!』

「おぉ!」

「『いただきます』」

「んふ〜

美味しい!」

『うん、いい出来』


私たちがそうやって食事を取っていると。


『なんだか、さっきのリンのお腹の鳴るタイミングとか見てるとフラグみたいだよね』

「あぁ…

食べてる途中で大蛇が来て料理をあげたら懐かれる、、、みたいな?」

『そうそう』

「さすがに無いでしょ」

『だよね〜』


ガサガサ


『…』

「…いま音したよね?」

『いやいや…まさかそんな』

「飯を食わせろ!!!」

「『本当に来た!?』」

「おい人間!飯を食わせろ!

じゃないとお前を…」

「ちょっ

あんた大丈夫!?」

『はい、これお水

あとこれ』

「…うむ」


そういうと大蛇(おそらく)はホットサンドを頬張り始めた


「む!美味いぞ!」

『それはよかった』

「そうでしょ!リリの料理は絶品だからね!」

『なんでリンが自慢げなの』

「美味かった

馳走になったな、我はこの森の主の大蛇だ」

「わぁ、まさかのフラグ回収」

『綺麗にフラグ回収されたね』

「して、主ら名は?」

『リリ・キサラギです』

「リン・ヨザクラよ

私たちは冒険者になったばかりなの

これから色んな場所を旅するつもりよ!」

「リリにリンか、

さっきのほっとさんどとやらを作ったのはどっちじゃ?」

「それは、リリが作ったのよ」

「そうか…

よし、決めたぞ!」

『何を?』

「我もリリとリンについて行く!」

『なんで!?』

「正直、我はこの森に飽きていたのじゃ

主らと旅をし、そしてリリの美味いご飯を食べたいのじゃ!」

(絶対料理が本命だよね…)

「ダメか?」

「私はいいと思うよ」

『リン?!』

「だって2人旅もいいけど、人数多い方が楽しいでしょ?」

『うーん…

大蛇さんは何ができるの?』

「我か?うむ…主らを守ることができるぞ?

そして何より、我はこの森1つぐらいなら消し炭にできる」

「採用」

『リン!

…わかった、それじゃあよろしくね』

「誠か!

感謝するぞ!リリ!」

「大蛇さん

ってのもあれだから名前つけない?」

『名前?』

「おぉ

名前か!良いな!リリよ考えてくれ!」

『私!?

うーん…白くて綺麗な蛇だから…

“ハク”はどう?』

「ハク…か気に入ったぞ!」


そう言うと、ハクと私の体が光り始めた


「え!?」

『名付け…って、あ』


そう、私は忘れていた名付けの意味を。

名付けは契約の一種、そして名付けをした場合、その契約者達はどちらかの姿に引っ張られる。


(要するに…私蛇になるの!?)


少し諦め、現実逃避をしていると。


「うむ!この姿ならどうじゃ?」

「『誰ですか!?』」


目の前にいたのは、長い白色の髪に金色の瞳、着物のような服を着た少し幼い美女だった。


「ハクじゃ!」

「うぇ!?

ハクなの!?」

「うむ」

『えっと…ハク?』

「なんじゃ!主!」

「あるじ!?」

『主はやめて!?

リリでいいから!』

「え?え?どういうこと?!」


それから私は名付けの意味リンに話した。


「なるほどねー」

『私もすっかり忘れてた…』

「そういえばリリよ

ステータスを見てみよ」

『ステータス?

まぁいいけど、、、へ?』

「リリ?どうしたの?」


私は言われるがままにステータスを見た

するとそこに写っていたのは…


『スキルとレベルが…増えてる』

「ふふん!

我とリリは”名の契約”を交わしたからな!

リリが我に料理を振る舞う!我はリリに力を貸すという契約じゃな!」

「レベルはどのくらいになったの?」

『えっと15になってるね』

「リンのレベルも増えておると思うぞ?」

「わっ、

私はレベル12になってる

スキルはどんなの?」

『えっと、水氷(ウォーターアイス)?っていうスキル』

「ほう、それがリリの方へ行ったか」

『これはどんなスキル?』

「そのままじゃぞ?

水や氷を操れるな」

「へ〜

ねぇ!ちょっと使って見てよ!」

『わ、わかった』


スキルを使う上で大切なのは、イメージ。

空気中から水を集めるイメージをする。


(そしてそれを…)

『水撃(ウォーターアタック)!』


ゴォッ

という音を立てて木を1本倒した。


「ほぉ、、、

筋が良いな!して、水はどこから?」

『えっと、空気中にある水を集めるイメージをしたよ』

「なるほどな」

「えー!リリすごい!

私も何か技考えようかな?」

『ってそうじゃなくて!

ねぇ、ハク』

「どうした?」

『ハクの鱗ってもらえる?』

「鱗か?」

『うん…』

「うむ…鱗は無いがこれならあるぞ?」

「これは?」

「我の脱皮したものじゃ!」

「『おぅ…』」

「これで良いか?」

『うん…そうね、十分すぎるね』

「ならばよかった!」

「それじゃあギルドに行こっか」

『そうだね』

「れっつごーじゃな!」

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