説得
ピンポーンピンポーン。
樫木(母)『あらっ‼光山部長大変長らくご無沙汰しております、もう何年ぶりになりますでしょうか』
光山『長らくご無沙汰しております
もう3~4年になりますでしょうか、御主人ご在宅ですか?』
樫木(母)『もうすぐ帰ってくるかと思いますなんでしたら中でお待ちください』
光山『そうしましたらまた出直しますよ、
お二人揃ってではいけないものですから』
樫木(母)『それならば尚更ですわ、どうぞお上がりください』
光山『それでは御言葉に甘えて失礼します』(心の声)さすが外面だけは得意なようだと心の中で思った
樫木(父)『ただいま、ん?来客か』
樫木(母)『おかえりなさい、あなた光山部長さんがお見えですわ』
光山『ご無沙汰だね樫木君お邪魔しているよ』
樫木(父)『こちらこそご無沙汰しておりますどうされたのですか』
光山『お二人に話がありましてね。』
樫木(父)『どうぞ』こういう時は何かあるな‼鋭いからなこの人は
光山『そう言えば娘さんは幾つになったんだっけ?』
樫木(母)『早いものでもう高校1年になりました、最近は帰りも遅い様で朝も早く出かけるのでなかなか顔を会わす時間がないですわ』
樫木(父)『まぁ年頃の娘ですからね
好きな人でもいるだろうしアルバイトも言ってるし青春を謳歌してるのではないかなと
羨ましいなぁ~懐かしいなあの頃は』
光山『そう言えば仕事は大丈夫かい?
まさか君の会社が外資と合併するとは
思いもみなかったしな、うちの会社も私が去ってまだ1年も経たないというのに瞬く間に経営危機だなんて皮肉なものだよ』
樫木(父)『そういえば、今は何をされているのですか?』
光山『私の友人がね以前高校の校長をしていてね、今は教育委員会の方にいるのだけど、
新しい風がほしいって民間校長の誘いをうけてね、熟慮した上で今年から高校の校長に赴任しているのだよ
暁高校へと柄に似合わずだがね
そこで本題に入るとしましょう
今日は娘さんの結愛さんの件で伺いました』
樫木(父)『とおっしゃいますと結愛が何か』
光山『娘さんが結婚するため学校を退学したいと申し出がありました』あえて嘘をついた言い方が悪いがこの夫婦にとれば子供は邪魔の様な存在が親という看板を作り上げることよりも己が大事なのだろう
樫木(父)『結婚‼母さんそんな話は一言も聞いてないぞ‼』
樫木(母)『結愛がそんな事を気の迷いですよ、あの子気分屋な面がありますから」
光山『行きなり校長室に入るなり結婚退学なんていうから驚きましたよ
ですが気の迷いではなく婚姻届に証人になってほしいとまで言ってきましたからね~
娘さんからすれば、正直あの人達はあてにならないし信用していないのでだそうだ
とっくの昔から気付いていたようだ
君達がそれぞれの不倫相手がいる事に、
それも長年に渡るそうですね
家庭内が冷えきっているにも関わらず離婚するわけでもなく仮面夫婦を演じている君達を見て腹立たしさ、そして居場所がないとね』
樫木(父)『結愛がそんな事を…』頭を垂れて項垂(うなだ)れていた
光山『子供は見ていない様で見ているからね反面教師にするのではないかな?
私は親のようには決してならないとね、
少なくとも私は証人欄に記入済だ
2人もそれぞれの道を歩まれたらどうだ
ちなみに娘さんと恋人が後日挨拶に来るだろうからその時は頼みますよ
それではそろそろおいとまするよ』
樫木(母)『光山部長!結愛の相手の方をご存知なのですか?』
光山『えぇ、それではおいとまします、
失礼します』樫木家を出る光山
光山「あれでスッキリするだろう、それぞれがバラバラになるがやむを得ん」
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