50本目「卒業? ………………卒業ッ!!(中編)」

 ……僕は夢を見ているんじゃないだろうか。

 あるいは、実は僕は事故か病気で倒れ、元の世界によく似た異世界に転生してしまったのではないか。

 そんなバカげたことを考えてしまう。




 ……いや、さっきもやったか、これ。

 でもさっきよりも夢なんじゃないだろうかという思いは強い。

 それくらい現実味が感じられない……。

 ……でも現実なんだよね、今は……。




「…………ここが天国エデンだったのか……」




 ――なんて、アホなことを呟いてしまう。







 僕は今、裸でベッドに一人いる。

 ぼーっとしている。

 何というか、気力体力がごっそりと削れた気がする。

 けど、とてつもない幸福感と満足感があるのも確かだ。




 で、姫先輩はというと――今は一人でシャワーを浴びているところだ。

 が済んだ後、シャワーもせずにしまったこともあるし……ということで、姫先輩がシャワーを浴びてくると言った。

 ……勢いに任せなかったらいつまでたっても進まなかっただろうなーって思うけど、やっぱりいきなりはアレだったかなぁなんて反省している。

 …………次回以降はちゃんと気を付けよう。うん。大丈夫、次回もあるさ!

 ま、まさかこれ一回で振られるなんて……ないよね? ね??




 はぁ……それにしても、夢のような時間だった。

 僕の『夢』が叶ったわけだし、ある意味間違ってはいないのかもしれない。

 知ってた? おっぱいって柔らかいんだけど、ブラつけてると結構硬いんだよ? 衝撃の事実だったよ……また一つ賢くなった。

 ……あー、あとあれだ。ブラの外し方はこれから練習しよう。もちろん姫先輩で……って、怒られちゃうかな? 姫先輩怒ると怖いからなー……。




 ……と、ほけーっと放心状態だったけど、我に返った。

 そうだ! ラブホならアレがあるはず!!

 アレだよアレ!

 お風呂の壁がスケスケになるやつ!

 ……あれ? ないかな? ホテルによって違うのかな?

 …………まー、回転するベッドもなかったし、そういうものなのと納得するしかないか。残念……。

 フフフ……なんか、良さげなラブホ探しとか楽しそうだなー。世のカップルは、こういうことで楽しい時間を過ごしていたんだなー(※個人差はあります)

 あ、でもあんまりばっかり考えてたら姫先輩に嫌がられちゃうかな。

 目的で姫先輩と付き合っているわけじゃないんだし、欲望ダダ漏れにならないようにしないとね。

 それに、ヤリについてはこれからも真面目に取り組まないと。

 ……これは姫先輩だからということに限らない。

 僕自身、なんだかんだでヤリにハマっていると言えるからだ。

 まだまだ姫先輩や本多先輩たちには到底敵わないけど、それでも自分が徐々に実力をつけているというのが実感できている。

 やっぱり、そういうのって『楽しい』よね。僕は楽しいと思う。




 紆余曲折はあったけど、ヤリ学に入って、そしてヤリサーに入って良かった――それだけは間違いないと思うのだ。







「貞雄さん、お待たせしました♥」




 と、そんな色々と感慨にふけっている (しかしお風呂をスケスケにするスイッチを探しながら)と、姫先輩がシャワーを終えて出て来た。

 髪は濡れてない……あ、そりゃそうか。乾かすのに時間がかかっちゃうからね。また一つ勉強になった。

 それで姫先輩はバスタオルを巻いて身体を隠しているわけだが――

 ……フフフ、我が神槍ロンギヌスも滾っておるわ……!!

 ラブホは『ご休憩』で入っている。まだまだ休憩時間は残っている……!!

 となれば、ここから2回戦も可能ということ……!!!

 あ、もちろん姫先輩さえ良ければだけど。恋人とはいえ、無理強いはよくないもんね。




「ふふふ……♥」




 …………。

 ……あ、そうだ! ぼ、僕もシャワー浴びてこようかな~?




「貞雄さん……♥」




 姫先輩がバスタオルをはらりと落とし――芸術品の如き裸体が晒される。

 ……んだけど……。




「え、えーっと、僕もシャワーいこうかな~?」




 姫先輩もヤる気だ。それは間違いない。

 僕の神槍も臨戦態勢なのがバレバレだ。裸だったしね。

 

 ――それは確信だった。

 なぜならば――




「わたくし……もう我慢できません……♥」


「せ、先輩!?」




 僕がベッドから降りるよりも早く、裸の姫先輩がにじり寄り……僕へと抱き着いてくる。




 うっっっっ!!!!!!!!!!!!




 ……いや、我慢しない方が良かったかもしれない……。

 流石の僕といえど、短時間でしたらは厳しいかもしれない。

 男としては情けなくなるけど、それを理由にしまえば――




「うひゃぁぅっ!?」


「うふふ……可愛らしい……♥ ああ、本当に愛しい方……♥」




 艶っぽい囁きと共に、しなやかな指が僕の身体をさわさわ……唇でちゅっちゅ……。

 普段の姫先輩と様子が違いすぎるけど、これはこれでイキり勃つ――んだけど……。




「ひ、姫先輩……あの、は一体……?」




 もうダメだ。突っ込まずにはいられない!!

 僕が指さしたのは――……についてだ。

 比喩ではなく黒光りするは、サイズこそ違えど僕にとって――いや男性からしたら見慣れたものであろう。

 ……姫先輩は『女性』である。間違いない。

 でも、じゃあ、今股間から生えているものは……?




「ふふ、わたくしの愛棒の『ゲイボルグ壱号君』です♪」




 …………常々思ってるんだけど、日本人はそろそろクランの猟犬クー・フーリンさんに土下座で詫びた方がいいと思うんだ。色々と。他にも詫びなきゃいけない人がいっぱいいるだろうけど。

 それはともかく――

 もう現実逃避していても仕方ない。

 はっきりと言おう。

 

 前述の通り、姫先輩は『女性』だ。目と手と口と神槍ロンギヌスで確認済みだ。間違いない。疑いようもない。

 だから……今生えているのは『作り物』のご立派様だ。

 ――映像資料AVとか参考文献薄い本・厚い本で見たことある、ペニバンって奴だこれ!!!

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