夜泣き石の怪

無雲律人

プロローグ

プロローグ


 千葉県市川市北部に、里見さとみ公園という大きな公園がある。


 広いバラ園や、バーベキューも出来る広場を有し、芝生の広場もあれば、遊具が設置してあるエリアもあり、市民だけに限らず、多くの老若男女が楽しめる作りになっている。


 そのバラ園の北側に、三つの石碑がある。その石碑の傍には、泣き石と呼ばれるかつての戦国時代の因縁を孕むものが置かれている。


 戦国時代、この公園の一帯には国府台こうのだい城があった。


 その国府台の地で、安房の大名である里見氏と、相模の大名である北条氏は激しく戦闘を行った。その際、里見氏軍勢は多くの犠牲者を出して敗北した。


 その戦場の悲惨さを見た幼かった里見軍の武将の姫は、そこにあった石にしがみつき泣き続け、ついには命を落としてしまったのだ。


 その時の姫の泣き声が、その石からは聞こえてくると言う。


 その後、通りがかりの武士が姫の魂を憐れに思い、供養をしてからは泣き声は聞こえなくなったと言うが、それは本当だろうか? 姫の魂は本当に成仏しているのだろうか?


 それを、今から確かめに行ってみましょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る