第12話 新たな旅立ち

ある朝、美織学はいつもと違う気持ちで目を覚ました。夜に星空を見上げたことが、彼の心に新たな光を灯した。今日は、児童養護施設での生活に別れを告げ、新しい家族のもとへと移る日だった。彼はこの日を迎えることに少しの不安と多くの期待を抱いていた。


朝食を終え、荷物をまとめるとき、学はこれまでの生活を振り返った。施設で過ごした日々、初めて友達ができた喜び、そして、夜空に思いを馳せた夜。それぞれの記憶が彼の中でキラキラと輝いていた。学は、これらすべての経験が自分を成長させ、新しい未来へと進む勇気をくれたことを感じていた。


新しい家族との出会いの時が来た。施設の玄関で、麻衣さんと杏子さんが学を見送るために待っていた。彼女たちとの別れは、学にとって甘いものではなかったが、彼は心からの感謝の気持ちを込めて、「ありがとう、またね」と言葉を交わした。そして、深呼吸を一つして、新しい家族の車に向かって歩き出した。


車は都会の喧騒を離れ、緑豊かな田園地帯へと進んでいった。窓の外に広がる風景は、学にとって新鮮な驚きで満ちていた。彼は、この新しい場所での生活が、自分にどんな新しい発見と経験をもたらすのかを想像してワクワクした。


新しい家に到着すると、彼を温かく迎え入れる家族の笑顔があった。彼らは学に対して、これまで彼が感じたことのないような愛情と理解を示してくれた。学は、この家が自分にとって新しい居場所になることを直感的に感じた。


その夜、新しい部屋の窓から星空を眺めながら、学は心からの平和を感じた。彼は、過去の経験が自分をここへ導いたこと、そしてこれから始まる新しい生活への期待を胸に秘めていた。星空の下で、学は新しい家族との生活、そして未来への希望に満ちた新たな旅立ちを祝した。

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