第3話 1日目 ロープウェイ商店街と松山三越
16時30分、バスに乗って松山市内の大街道へと戻る。
まだ明るいのでそのままロープウェイ商店街を散策。
路面電車の駅から松山城へ向かうロープウェイ駅まで続く商店街は、郷土料理屋や土産物屋が並んでいて松山観光では外せないスポットだ。
夕飯にはまだ早いというのに、もう行列ができている人気店もある。
バリアフリー化された500mの商店街を歩いていると、『Canpachi』という青い塗装の店に気が付く。
近づくと缶詰めの専門店とあったので、興味をそそられ入店。
鯛めし屋の行列を見てから鯛の気分になっていたため、真鯛の水煮と焼き酒蒸しの缶詰を一つずつ購入。
今日はこの缶詰を中心に夕食を組み立て、ホテルの部屋で食べることに決める。
いったんロープウェイ駅まで行き、坊ちゃんとマドンナ像に挨拶してから折り返し。
路面電車のある大通りを渡って、今度は松山三越へ。
令和3年秋にニューリアルされた建物は、1階が土産物店とフードコートになっていて、百貨店としては少し変わった造りだ。
土産物店では今治タオルや愛媛の銘菓のほか、みかんを使った様々な商品が販売されている。
ジュースコーナーにはポンジュースはもちろんのこと、180mlで580円という高級みかんジュースまで売っていた。
どんな味か試してみたくなり、つい一本買ってしまう。
土産物店から奥へ進むと、坊ちゃんフードホールがある。
鯛めし等の郷土料理のほか、寿司、中華、たこ焼き、さらに焼肉まである充実ぶりだ。
しかし今日は外食をする気はない。
向かったのは弁当と総菜の店『瀬戸内キッチン』
直感的に美味そうと感じたパエリア弁当を購入する。
続いて向かったのは地下1階にあるスーパー『コープ松山三越』
総菜コーナーでアスパラの肉巻きとほうれん草のお浸し、そしてカップのインスタント味噌汁を購入。
これで夕食の準備は完了、後はホテルでくつろぐだけだ。
松山三越を出て再び道路を横断。
坂の上の雲ミュージアムより少し手前の場所に、今日から3日間お世話になる『ホテルビスタ松山』がある。
チェックインを済ませて、アメニティバーから歯ブラシと安全カミソリを持っていく。
最近のビジネスホテルはどこもこの方式だ、環境意識の高まりを感じる。
シングルルームはバス、トイレが独立式のタイプだ。
洗面台はベッドルームに有り、デスクの半分を占めている。
デスクチェアは無く座れる場所は一人掛けソファのみ、前には小さな丸型テーブル。
作業や食事はデスクではなく、ソファとテーブルで行う想定のようだ。
買い込んできた食材はテーブルの上に置き、デスクは荷物置きに使う事に決めた。
部屋着に着替えてソファに腰かけ、まずは1階のレンジで温めてきたパエリアから手を付ける。
魚貝の旨味がしっかりと染み込んでいていい味わいだ。
この手の弁当はライスがベトベトしている事が多いのだが、サラサラした食感が残っているのは見事。
つづいてメインに買ってきた真鯛の水煮と焼き酒蒸しの缶詰。
鯛には上品だが淡白な味という印象があったのだが、これには衝撃を受けた。
口の中で柔らかい白身が崩れる度に、缶詰の中で凝縮された濃厚な鯛の風味が染みわたる。
ひょっとすると鯛を最も美味く食べる方法は、缶詰なのかもしれない。
しばらくメインの2種とアスパラの肉巻きを楽しむ。
口の中が脂っこくなるので、ほうれん草とカップの味噌汁を買ってきたのは正解だった。
全て平らげたら、今度はデザートのライス生プリン。
甘さは控えめで好きな味だ。
柔らかい食感だが、お米のプチプチした舌触りがあるのが面白い。
締めは松山三越で買ってきた580円の高級ミカンジュース。
100%だがえぐみは無く、濃厚でジューシーなのに口の中は爽やか。
好きなものを好きなだけ食べて、腹も心も満足だ。
有名店で名物の旅も良いが、たまには人の目を気にせずホテルで飯も悪くはない。
その日は幸せな気分のまま入浴を済ませ、シャツと下着の洗濯をしてから就寝。
明日の目的は四国一周、なるべく早く松山駅へ行かねばならない。
ルートと乗り換えを頭の中で復習しつつ、ゆっくりと眠りに落ちた。
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