0005_素数集合に存在する偶数の割合

■アマネ

君、ちょっとクイズをしてみよう。




■シン

なんです、藪から棒に。




■アマネ

いいや、壁から釘だ。




■シン

それ毎回やるんですか?




■アマネ

さて、君は素数と云うものを知っていたかな?




■シン

ええ……。

非自明な約数を持たない1より大きい自然数、でしたっけ?




■アマネ

うむ。

では、そこでクイズだ。




■アマネ

素数集合の中に存在する偶数の割合は幾らだろうか?




■シン

はい?




■アマネ

さあ、答えてみたまえ。




■シン

いきなり云われても……。

素数集合の中に存在する偶数の割合、ですか……。




■シン

ええと、どの偶数も2で割り切れるんだから、偶数は2だけが素数ですよね。




■アマネ

うむ。

他の素数は全て奇数であり、しかも無限に存在する。

では、素数全体の内の偶数の割合はどのくらいだろうか。




■シン

どのくらいって……とても小さい気がしますね。




■アマネ

ゼロ、と云う事かな?




■シン

いえ、ゼロではないですよね。

だって確かに、2が存在するのだから。




■アマネ

ではこう考えるとどうだろう。

素数集合の元の個数をn個としよう。




■アマネ

n=1の時は、2のみが存在しているので、割合は1/1だ。

n=2の時は、2と3のみなので、割合は1/2だな。

n=3の時は、1/3だ。

一般に、1/nと云う事だな。




■シン

ええ。




■アマネ

そして素数は無限に存在するので、n→∞と考える。

すると、その極限値は、0に収束する。




■アマネ

従って、素数集合の中の偶数の存在割合は、0%なのだよ。




■シン

……えっ?




■アマネ

どこか訝しいかね?




■シン

だって……2が確かに存在しているじゃないですか。




■アマネ

だが0%のようだな。




■シン

ええ?




■アマネ

まあ、じっくり考えてみたまえ。

さて、何が正解であろうか?

私は何か、訝しな事を述べたであろうか?




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