393:【女帝の塔】vs【正義の塔】です!
■シャルロット 17歳
■第500期 Bランク【女帝の塔】塔主
【正義の塔】との
それにあたり、私が気を付けるべきことは「シュレクトさんに極力戦力を見せないこと」。
しかし、シュレクトさんが【六花】でなく【女帝】の申請を受けさせたことで分かったこともありました。
まず「【白雷】との
アドミラさんを偵察の手駒として使ったのなら限定スキルか何かで
それは話にも出ていたのですが、どうやら杞憂だったということですね。
だって【白雷】との
シュレクトさんは【女帝】の情報を少しでも欲しがっている。
だから【女帝】の申請を受けさせた。それは間違いないと思います。
ではどこまで情報を見せるべきか。それを皆さんで話し合いました。
フゥさんの調べで【正義の塔】の最高戦力はロイヤルナイト(A)。
もちろんその分総数は少ないですしロイヤルナイトだけが突出した存在ではあるのですが、塔主となってまだ数月、Eランクの塔であるのに、大ボスにAランクの魔物というのは異常です。
どれだけお金をつぎ込んだと言うのでしょうか。
ともかく最低でもロイヤルナイトを斃せる戦力が必要で、シュレクトさんの手がけた【正義の塔】を攻略できる程度の斥候能力も必要というわけです。
「わたくしが参りましょう」
というわけでエメリーさんにお任せすることにしました。
二年前の【正義の塔】戦でやったような単独攻略ですね。他の戦力は微塵も見せたくないと。
ただエメリーさんの情報などそれこそシュレクトさんが一番欲しいはずです。
ですので色々と制限を掛けました。
武器はミスリルソードのみ。最高速度も見せない。なるべく順路に迷うふりをする。罠にも時々掛かる。その上で、シュレクトさんの手がけた塔構成をなるべく見ておく。こんなところです。
これで侮ってくれるならば儲け物、そういうつもりです。
シュレクトさんにはバレると思いますけどね。明らかに手を抜いていると。
一応、防衛用として【女帝の塔】の一階層。転移門の付近にロイヤル小隊を置いています。
侵入があれば即座に排除するつもりで。一階層の探索でさえもさせませんよということです。
ロイヤル小隊程度でしたら見せても問題ないですしね。いるのは分かっているでしょうし。
そうして始まった
シュレクトさんも分かっているのでしょう。攻略など出来るわけがないと。
侵入者の情報で八階層までの塔構成は把握しているでしょうし、それで十分と思っているのかもしれません。
あとはエメリーさんが【正義の塔】を攻略するだけなのですが、それも特に手間取るところもなく、想像以上に簡単に終わってしまいました。
ドロシーさん曰く、罠の配置や魔物配置、迷路の創り方などは確かに新人塔主とは呼べないほどの出来だったらしいです。
とは言え、手離しで素晴らしいと言えるほどのものでもない。
つまりシュレクトさんは手を抜いて【正義の塔】を創っていたのだろうと、そういう結論にしていました。
まぁ私から見てもドロシーさんの創る塔のほうが怖く感じたのですがね。
シュレクトさんを過大評価しているだけかもしれませんが、【大軍師】がこれくらいの難易度の塔しか創れないわけないと思うのです。
そうなるとやはり、わざと難易度を低めに創っているのではないかと。Eランク侵入者に合わせただけかもしれませんが。
ということで塔構成も見る価値なし。私たちの目論見は空振りに終わったわけです。
ではもう殲滅させて少しでも魔石を入手しておこうと、エメリーさんに頑張ってもらいました。
もちろん手加減した上での探索・攻略です。
『ひぃっ! こ、この亜人めが! 儂の塔をメチャクチャにしおって! おいシュレクト、どうなっておる! 何が任せておけだ! こうなったのは貴様のせいだぞ! どうやって責任をとるつもりだ!』
最上階ではアダルゼアさんが随分と騒いでいました。
エメリーさんはいつものように丁寧な一礼とご挨拶をすると、ミスリルソードをアダルゼアさんに向けます。
『最期にお聞きしたいのですが、貴方の知る限りの【聖】同盟の情報を教えて頂けませんか?』
そう言い終わると、おそらくエメリーさんは殺気を放ちました。目の前のアダルゼアさんに向けて。
すると途端にアダルゼアさんは気を失いました。
開いていた画面も当然消えました。【聖】同盟との通信も切れたでしょう。
あの問いかけを最後に通信が途絶えたのですから【聖】同盟も気が気ではないでしょうね。
アダルゼアさんからどれだけの情報が漏れるのか、私たちがどれほどの情報を得るのか。
おそらく本格的に潰しに来るのではないでしょうか。そんな気がします。
『お嬢様、いかがいたしましょう。叩き起こして情報を聞き出しますか?』
「皆さんはどう思います?」
『どうせろくな情報は持っていないですわよ。もし持っていたらそもそも
私たちが欲しい【聖】同盟の情報というのは塔構成や魔物戦力、限定スキルなどですね。
さすがにアダルゼアさんが知っているわけもないですか。
もし知っていたのなら、アダルゼアさんがそれを聞く時にフゥさんのファムも聞いてそうですしね。
フゥさんも掴んでいないということはアダルゼアさんも知らないということになりそうです。
「エメリーさん、ではもう
『承知しました。接収終了後に帰還します』
何となく接収物が多そうな気がしますね。宝物庫を拡張しておくべきでしょうか。
■アレサンドロ・スリッツィア 64歳
■第472期 Sランク【聖の塔】塔主
『アレサンドロ様、あれはさすがに放置できないのでは』
『アダルゼア大司教からどんな情報が漏れたことか……』
「案ずることはない。アダルゼア大司教には我らの塔のことなど何も教えていないし、ゴシップめいたものもないだろう。其方らが個人的に何かを話していれば別だが、まさかそれはないであろう?」
ミュラー司祭とエッジリンク司教が若干不安気な顔をしていたが、別にあの肉豚が何を喋ったところでこちらの痛手になることはない。
ただあの亜人メイドに気圧されたのは画面で見ていたこちらも同じだからな。
それで不安になってしまう気持ちも分かる。
今回は肉豚の始末と【女帝】の情報収集という名目で戦わせたわけだが、向こうが出してきた手の内というのは亜人メイドただ一人だった。
それ自体は予想出来ていた事だ。シュレクトもおそらくそうなると踏んでいた。
とは言え、実際にただ一人で攻略する様を見せつけられれば、少なからず動揺するというもの。
ただ短時間で全五階層を踏破したというだけではない。
罠でも魔物でも一つのダメージを受けることなく、塔内にいる全ての魔物を斃し尽くした。単独完全攻略と言えるものだ。
メイドがジータ以上の力を持つ
当然Sランク固有魔物より強いわけだから、Eランクの塔など攻略できて当たり前なのだが、それでも上手く攻略しすぎたのだ。
何かしらのミスがあったり、何かしら弱点が垣間見えることがあっても良さそうなものだが、少なくとも私にはそれも見えなかった。
その上で最上階でのあの様を見せつけられれば、誰だって恐ろしく思ってしまう。
ミュラー司祭やエッジリンク司教だけの話ではない。武勇に長けたレイモンド司教とて思うところはあるだろう。
私もこれほどの
「シュレクト、其方はどう見た」
「まず皆様に承知しておいて頂きたいのは、今回の戦いであのメイドは明らかに手を抜いていたということです」
『なっ……! あれで、だと……』
「おそらく半分も力を発揮していない。三分の一程度の力ではないかと僕は見ています」
それはミュラー司祭でなくても驚く。
三分の一だと? つまり三分の二の力を隠した状態で単独完全攻略を為したというのか?
『全力ではないだろうと思っていましたが……本当にそれほどですか?』
「下手したら五分の一の可能性もあります。あくまで僕の見解ですのであしからず」
『なんと……』
「しかし色々と分かったこともあります。まずあのメイドは″剣士型の斥候″であるということ。魔法は使えない可能性が高い」
斥候だと? と皆が怪訝な顔を示した。私も同じだ。
『シュレクト殿、メイドは罠にも掛かっておりましたし魔物の奇襲も受けていましたが』
「それは演技です。おそらくメイドは<罠察知><気配察知>といった斥候スキルを持っている。罠にしても分かっていてわざと踏み、その上で矢やギロチンを避けただけです。魔物の奇襲も同じ事。分かっていて寸前で迎撃したように見せただけ。
上手すぎるのですよ、対応の仕方が。いくら反応速度が馬鹿げていると言ってもあそこまで綺麗に避けられるものではありません。ですから、知っていた上でわざと掛かったと僕は見ています」
付け加えれば、【女帝】はメイドの斥候能力を信じていたから単独で侵入させたのだと。
それはそうだ。いくら
仮に【英雄】ジータが同じような真似をしたところで少なからず罠には掛かるだろう。そういうことだ。
とは言え、あのメイドの剣技は相当なものだ。四本のミスリルソードをあれほど巧みに操られたら堪ったものではない。
つまり剣士であるということは見せている。渡してもいい情報だと。
それを隠れ蓑にした″斥候″こそがメイドの本質なのではないか、とシュレクトは言った。
『メイドが危険だというのはよく分かりましたが、だからといって放置していい相手とも思いません。アダルゼア大司教の情報が云々は抜きとしても向こうが仕掛けてきた今が好機だと私は思います』
『私もレイモンド司教に賛成です。今ならば向こうも申請を受けるのでは?』
ふむ、それもまた分かる話だ。
普通に考えればランク差があるからこちらが申請したところで却下されるだけ。
しかし【聖】同盟に対して明確な敵意を示してきたのだから、こちらの申請を受けることはありうる。
いずれ消したいと思っているのはこちらも向こうも同じだ。
ならばここいらで一度、
このままではヤツら、無限に成長してしまうからな。
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