289:ノノアさんとシルビアさんも色々考えています!
■ノノア 16歳 狐獣人
■第500期 Dランク【
この度、二階層の後半にある『霊安室』が攻略されました。
それによって一階層の入口にあった五十万スーア(約五百万円)ほどのお宝は攻略した侵入者パーティーのものに。
フゥさんの話では冒険者ギルドで大騒ぎだったようです。
お宝を手に入れたDランクパーティーは英雄扱いで、周囲の冒険者を巻き込んでの大宴会を実施。
せっかく手に入れたお金をかなり使い込んだらしいですね。勿体ないと思いますが冒険者っぽいとも思います。
しかしその宣伝効果は絶大で、実際にお宝を手にしたパーティーを見たせいで我も我もと侵入者の方が押し寄せる事態となりました。嬉しい悲鳴ですね。狙い通りではありますが。
手に入れられてしまった一階層の入口のお宝は解放条件を変えてあります。
今度は『第七衛兵室の謎を解け』として中身も八十万スーアほどにバージョンアップ。
お金もそうですがシャルロットさんから頂いた武具――【強欲の塔】の押収品――も合わせてそれくらいの価値にしています。
明らかに高ランク冒険者用の武具ですからDランク侵入者からすれば大層なお宝ではないでしょうか。
TPに換算すれば8,000TPですからね。Aランクの魔物相当にもなります。
ちなみに第七衛兵室は三階層にあります。
ですので早く三階層に行って下さいねと、そういうことです。
二階層も随所にお宝は置いているのですがね。そちらはせいぜい一~十万スーアほどですからそこまでニュースにはなりません。
ただ探索のモチベーション維持のためにも適度に配置するようにしています。
ここも皆さんから寄付してもらった押収品を使わせてもらっています。回復薬とかいっぱいありますしね。
そろそろ三階層に到達する人も出て来ると思うのですがね……あと一歩というところ。
すでに三階層は出来上がっていますし、二階層までとは少し趣向の違った階層にしてあるので、そこをどう攻略してくるのかが見所です。
往復転移魔法陣も設置してありますしね。
一階層と二階層を無視できるとなれば益々話題になるのではないでしょうか。
そんな感じで塔の運営ばかりに力を入れ、四階層も創りつつといったところなのですが、塔の強化というのはおざなりになっている感じです。
【魔術師】同盟戦に向けて準備したリッチ(A)二体とその配下あたりで止まっています。
それも侵入者と戦わせるわけではないので増える一方なのです。消費しないのでとりあえず六階層あたりに置いているだけですね。
二階層までは謎解きに加えて罠での対処がメインでしたが三階層からは魔物も使う形で考えています。
謎解きして入った部屋が魔物部屋のような罠になっているとか、そういう感じですね。
召喚したスケルトン系はそこで使いたいなと思っています。
『では【魔術師】戦の報酬がまだ残っているのですか』
シルビアさんとの通信でそんなことを言われました。
あの戦いで得た約十八万TPはほとんど残っていますし、日々の塔運営でさらに増えている状態です。
今は諸々込みで二十五万くらいですかね。
【世沸者の塔】はギミックの稼働くらいしかTP消費がないのである程度の集客さえあれば黒字になるのですよ。
そんなことを言ったらシルビアさんに羨ましがられました。
『私でなくても全ての塔主が羨むでしょう。どこもTP不足で嘆いているでしょうし』
「シ、シルビアさんのほうはどうなのです?」
『うちは上層が未完ですし戦力も一変させましたから、まだ安定にはほど遠いですね』
【六花の塔】がDランクへと上がり、そこで私たち同盟五塔主によるテコ入れを行いました。
塔構成が一新され、魔物の配置も大きく変わりました。
そこで【黄昏の塔】【黄砂の塔】の連戦があったわけです。
TP報酬はそれほど多くなかったらしいのですが、代わりに【黄砂の塔】の魔物の召喚権利を多く得ました。
天翔皇ホルス(★A)、アヌビス(A)、スフィンクス(A)といった非常に有用な指揮官タイプですね。
シルビアさんの眷属は
そこにどう組み込もうかというのが悩みどころらしいですね。気持ちは分かります。
今のシルビアさんは手札が多すぎるのですよね。
【黄砂】の報酬もそうですが【魔術師】同盟戦の報酬でも青竜リヴァルナーガ(★S)とデュアルドレイク(★A)の召喚権利を得ていますし、それ以前に自塔の固有魔物である氷獣ファーブニル(★S)と霜巨人ヨートゥン(★A)も未召喚の状態です。
あれもこれも召喚したい。階層も完成させたい。そこに配置する魔物も召喚したい。
そんなわけでTP不足と感じているのでしょう。
塔構成にしても戦力にしても理想がすごく高いのですよね。
シルビアさんの考えている【六花の塔】を形にしたらBランク程度になりそうな気がします。実際はDランクなのに。
でもシルビアさん……いえ、私たちのすごく身近な人たちは皆さんすごい塔ばかりですから。
CランクなのにBランク上位相当の塔だったり、BランクなのにAランク相当の塔だったりするわけで。
だからお手本にもしちゃいますし、皆さんの足を引っ張らないためにも強い魔物が欲しかったりするわけですよ。
私も召喚しておいたほうがいいのですかね……。
=====
□デーモンスライム★/A/22,000TP
□ヨグ=ソトース★/S/68,000TP
=====
このあたりとか……。
■シルビア・アイスエッジ 22歳
■第501期 Dランク【六花の塔】塔主
ノノア殿との通信は毎日のように行っているが、私としては非常に相談しやすい先達ということで色々とアドバイスを頂いたりしている。
私からすればノノア殿も「類稀なる才を持つ先輩塔主」に違いないのだが、ご本人はいつも謙遜しているのだ。
同盟の中でも自分が一番弱いから、と。
比べる相手が悪いとしか思えないのだがな。あの四名が身近にいる環境故の弊害と言えるだろう。
相変わらず塔創りはゆっくりのようだが、それは仕方ないことだと思う。
一つの階層にあれだけの数のギミックを詰め込んでいるのだ。
それを考えて形にするだけでも一苦労だし、創れば創るだけ毎日の修正箇所が増える。
そうなると塔運営に全力になるのも仕方ない。
少なくとも私にはとても真似できない塔を創り上げているのは間違いない。
『わ、私も召喚しておくべきですかね……次の
「その気持ちも分かります。ですが私が何を召喚していてもあの方々ならば上手い事運用してくれるとも思いますので、私はあくまで自塔戦力として使える魔物を召喚するつもりです」
『そ、それもそうですよね……』
私は塔構成を完成させることを第一に考えているが、強い魔物を召喚しておきたい気持ちも依然としてある。
Dランクの【六花の塔】とすれば過剰なのだが、【
とは言え氷獣ファーブニル(★S)にしても青竜リヴァルナーガ(★S)にしてもおそらく巨体だろうし、
霜巨人ヨートゥン(★A)やデュアルドレイク(★A)にしても同じことだ。攻撃陣としては使えないだろう。
となると【黄砂】の報酬である天翔皇ホルス(★A)、アヌビス(A)、スフィンクス(A)あたりに目が行く。
ホルスは風魔法と指揮のできる飛行系魔物。アヌビスは土属性の亜人系魔物。スフィンクスは神聖魔法の使える飛行系魔物だ。
どれも非常に使いやすい。【六花】軍の攻撃陣を形成すれば主力となる魔物だ。
しかし
ホルスはクロウと役割がかぶるし、アヌビスやスフィンクスは固有魔物でもない普通のAランク。
それを召喚するくらいならば自塔の魔物を召喚すべきかと。難しいところだ。
結局は私も最後の眷属枠となる強い魔物は一端据え置きにして、塔に配置する魔物の召喚に留めているというわけだ。
これではノノア殿のことは言えない。
これでちゃんと塔を強くできているのかと不安にもなるのだ。
「……いっそのこと限定スキルを取得してみるというのは」
『そ、それはさすがに……Dランクで取得するものでは絶対ないでしょうし……』
「まぁそれはそうですよね」
シャルロット殿の一戦からドロシー殿やフッツィル殿も限定スキルを取得したいような話をしていた。あの戦いに感化されたのだろう。
それは私も同じだ。やはり限定スキルは強力だし、塔主となったからには狙うべきだと思う。
私はそれほどの余裕は全くないのだがノノア殿ならば何かしら取得できるのではないか。そう思って聞いてみたのだが、どうやらまだ取得する気はないらしい。
ちなみに私が取得できる限定スキルはこのようなものだが……。
=====
□氷霜の庭/200,000TP:自軍指定エリアを凍らせる
□六花乱舞/310,000TP:自塔屋外エリアの降雪で継続ダメージを与える
□堅氷の装具/470,000TP:氷を纏う
=====
当然TP的にも安易に取得できるわけがない。
<六花乱舞>などは狙い目なのだがな。アデル様の<赤き雨の地>と似たような効果だと思うし、いずれ取得したいとは思っている。
<氷霜の庭>も″自軍″となっているので
いずれにせよ私には縁遠い話だ。
今は塔を完成させることに邁進するしかない。
……TP稼ぎのために
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