193：六塔同盟での自塔紹介です！
■シルビア・アイスエッジ 22歳
■第501期 Ｅランク【六花の塔】塔主
話はそれぞれの塔に関することに移っていった。
同盟の中で塔の情報を共有するというのは
五人が互いに助言したり、教えを乞うたりする中で塔構成は洗練されたものになるのだそうだ。
同盟が一丸となっているという感じがするが、これも以前の私の感覚からすると「バベルの同盟らしくないな」と感じてしまう。
とは言え、加入したからには従うまでだ。
まずは私の塔のことについて皆さんにお教えした。……ファムとやらですでに知っているかもしれないがな。
＝＝＝＝＝
【六花の塔】塔主：シルビア・アイスエッジ 22歳 人間
ランク：Ｅ（全五階層）
戦歴 ：三勝
塔構成：氷雪に関する階層ばかり。屋外が多い。
魔物も地形にちなんだ魔物ばかり。
罠は多くもなく少なくもなく。
眷属 ：
＝＝＝＝＝
「塔構成や魔物の幅は狭いが応用はいくらでも利きそうじゃのう」
「地形そのものが罠みたいなもんやろ。ウチ好みやわー」
「シルビアさん、ドロシーさんに今度ご教授願ったほうがいいですわよ？ わたくしもかなりお世話になっておりますから」
【忍耐の塔】の罠というのはギルドでも有名だった。やはりドロシー殿の手腕なのだろう。
私からすればアデル様の考えて下さった罠や塔構成も自分では考えつかないものであったが、そのアデル様にしてそこまで言わせるのだからドロシー殿は相当のやり手なのだろうな。それは想像できる。
ただでさえ『氷雪の塔』というのは探索しにくいものだが、ドロシー殿の手が入ればさらに強固なものができるかもしれない。
私としても是非ともご教授願いたいところだ。
「え、えっと、先に私の塔から説明します。シルビアさんに一番ランクも近いですし、皆さんみたいにインパクトはないと思いますから……」
そうノノア殿が切り出した。
＝＝＝＝＝
【世沸者の塔】塔主：ノノア 16歳 狐獣人
ランク：Ｄ（全七階層）
戦歴 ：五勝（うち二勝は
塔構成：謎解きギミックに特化した塔。庭程度なら屋外階層も可能。
魔物はスライム系統のみ。
罠・ギミックの種類はとてつもなく多い。
眷属 ：
＝＝＝＝＝
「なっ……！ 固有魔物のＡランクとリッチですか！？」
と、いきなり驚かされたわけだ。インパクトがないとは何だったのか。
聞けば他にもＡランクのデスリーパーなどを持っているらしい。
Ｄランクの域では決してない。Ｂとまでは言わないがＣランク相当ではないだろうか。
鉄壁の謎解きに加えてこの戦力。なるほど【荒天の魔女】ダリアが負けるわけだ。
「ノノアさん、眷属枠は一つ余らせておく感じですか」
「えっと、やるとすればハイウィッチ（Ｂ）かデザートアサシン（Ｂ）なんですが、とりあえず保留で……」
「魔法部隊と斥候部隊の指揮官か。まぁ妥当なとこかのう」
「わたくしはデーモンスライム（★Ａ）というのも気になっているのですがね」
「パルクと喧嘩にならんか？ 天使と悪魔で」
随分と異次元な会話をされている。私が固有魔物を召喚するなど、はたしていつになることやら……。
「インパクト順ならば次はわしじゃのう」
いやもう【世沸者の塔】の時点で十分インパクトはあるのですが。
そんな心の叫びは聞いてもらえず、フッツィル殿は淡々と説明しだした。
＝＝＝＝＝
【輝翼の塔】塔主：フッツィル・ゲウ・ラ・キュリオス 51歳 ハイエルフ
ランク：Ｃ（全十階層）
戦歴 ：六勝（うち三勝は
塔構成：屋外地形がほとんど。いわゆる『鳥の塔』。
魔物は翼のあるものに限られる。妖精系、一部の虫系も可。
罠はあまり種類がない。屋外系が少しだけ。
現在は階層を繋げた結果、全五階層の扱い。
眷属 ：
＝＝＝＝＝
ＳランクドラゴンとＡランクの固有魔物……それに加えてフェンリル……これで四番目だとでも言うのか、この同盟では。
聞けばこれ以外にもガルーダ（Ａ）や十羽以上のフレスベルグ（Ａ）がいるらしい。
そうなると完全にＢランクだろう。やはりこの同盟はランク詐欺ばかりではないか。
「……すみません、全五階層というのはやはり高さが必要ということでしょうか」
「うむ。普通の鳥なら二階層分でいいんじゃがドラゴンじゃと三階層分必要でのう」
「シルビアちゃん、これは真似したらアカンで？ こんなアホなことするのはフゥしかおらん」
「阿呆ではないわ！ Ｃランクの塔じゃと天井高が8ｍしかないから仕方なかろう！」
私の塔でもフレスベルグやアイスバードは召喚可能だからな。天井高は気にする必要があるかもしれない。
とは言えさすがに全十階層を全五階層に減らすのはやりすぎだと思うが……。
「ウチはフゥみたいにトンチキなことはせえへんで。真っ当なＣランクの塔やから」
＝＝＝＝＝
【忍耐の塔】塔主：ドロシー 24歳 ドワーフ
ランク：Ｃ（全十階層）
戦歴 ：六勝（うち三勝は
塔構成：洞窟や石壁、砦型の屋内構成が多い。
屋外だと沼や湿地など足場の悪い地形が多い。
防御力が高いか状態異常攻撃をする魔物が多い。
現在は天使系も召喚可能。
罠は多種多様。
眷属 ：
忍耐の天使ウリエル（★Ｓ）
＝＝＝＝＝
この陣容に加えて固有魔物のスクイッシュドラゴン（Ａ）とやらもいるらしい。これのどこが真っ当なＣランクなのかと問い詰めたい。
と言うか案の定【忍耐の天使ウリエル】はいるのだな。
まぁウリエルがいたから【傲慢の塔】同盟と戦えたのだろうとは想像がつく。
「ウチは下層が罠と状態異常、上層が魔物戦力でって感じやな。同盟の中でも討伐に拘ってるのはウチとアデルちゃんとこくらいやと思う」
「そうなのですか」
「わしのところやシャルのところは討伐よりもダメージＴＰ狙いが多いからのう。ノノアはまた違うし」
「わ、私も最近はダメージＴＰを頑張って稼ごうと……」
【世沸者の塔】は滞在ＴＰが稼ぎやすいだろうからな。一度謎解きし始めたら五の鐘まで居座るだろうし。
私の塔はどうだろう。長時間の探索に向かない塔であるからダメージよりも討伐ＴＰ狙いになるのだろうか。
そうした目的をもった塔構成というのも学んでいかなくてはいけないな。
「では、インパクトの一番ある【女帝の塔】は最後としてわたくしの番ですわね」
「えっ、私最後なんですか？」
「当たり前でしょう。あとで
「そんなことないと思いますけど……」
大丈夫だ。もうどちらもランク詐欺というのは分かっている。
すでに麻痺したのか不思議なほど落ち着いているからな。
＝＝＝＝＝
【赤の塔】塔主：アデル・ロージット 18歳 人間
ランク：Ｃ（全十階層）
戦歴 ：六勝（うち二勝は
塔構成：屋内屋外問わず赤に
魔物も同様。火属性が圧倒的に多い。
罠はそれほど多くはない。
眷属 ：
限定スキル：＜赤き雨の地＞
＝＝＝＝＝
「げ、限定スキル！？」
私のリストにもあった、あの馬鹿げたＴＰを要求するスキルだ。塔主となった際にアデル様から忠告を受けていた危険なもの。
それを二年目のＣランクで取得したというのか！
……いや、アデル様がお持ちということは即ちシャルロット殿も……？
「限定スキルはＴＰ稼ぎのための内政型ですがね。本当は防御型か諜報型が良かったのですが贅沢は言えません」
「シルビアちゃんのトコはどんな限定スキルがあるん？」
「すみません、よく確認していないのです。取得するのは数年先と思っていましたので……今度確認しておきます」
「まぁそれが普通の思考じゃろ。わしだって身近にいながら解せんからのう。取得するには早すぎると」
「わたくしだってシャルロットさんが取っていなければ取りませんでしたわよ。Ｂランクに上がる為に仕方なくです」
「アハハ……」
やはりシャルロット殿もお持ちらしい。どうやらＢランクに上がる条件に限定スキルが必要と見ているようだ。
もしや二年目の後期でＢランクを……？ そうなればまた大ニュースになりそうだな……。
ちなみにアデル様は現時点でカーバンクル（Ａ）も五体ほど抱えていらっしゃるらしく、今後は【風の塔】から奪ったセイレーン（★Ｓ）を狙っているのだとか。
もう何も言うことはない。
「じゃあ最後に私の塔ですが……」
＝＝＝＝＝
【女帝の塔】塔主：シャルロット 16歳 人間
ランク：Ｃ（全十階層）
戦歴 ：五勝（うち三勝は
塔構成：女帝の統べる城と城下街が基本。
魔物はクイーン系統と城に則した魔物が多い。
罠も女帝らしい偏りがある。
眷属 ：
限定スキル：＜帝政統治＞
＝＝＝＝＝
「――と、他にはナイトメアクイーン（★Ｓ）とウィッチクイーン（Ａ）がいまして、あとはアスラエッジ（★Ａ）、マンティコア（Ａ）、サジタリアナイト（Ａ）、カーバンクル（Ａ）、ヴァンパイア（Ａ）が十体……」
「そこまででいいですわ、シャルロットさん。シルビアさんもうお分かりでしょう？ これが【女帝の塔】ですわよ」
「はい……理解はできないですが」
「これに加えてエメリーさんがおんねんで？ Ｓランクの侵入者かて攻略不可能やろ、こんなん」
そうだ。魔物の陣容以外にも英雄ジータを瞬殺できるエメリー殿がいる。
これは本当にＣランクにいるのがおかしい。なぜ前期でランクアップしなかったのか不思議なほどだ。
【女帝の塔】は『魔物は弱いがクイーンのおかげで統率されている』という噂だったが――下層に限ればそれも正しいのだろうが――まさかこれほどの軍勢を従えているとは……。
なるほど、アデル様ほどのお人が同盟に加入し、尚且つご自分より上位に置くわけだ。納得せざるをえない。
この上、塔構成を見せられるというお話だったな……今から気が重くなるのだが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます