120:同盟の皆さんで話し合いです!
■シャルロット 16歳
■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主
『ああああ! またとんでもない情報がポンポンとぉ!』
『レイチェルさんてやっぱりすごいですねぇ(遠い目』
『いやエメリーの情報を出してるんじゃから五分じゃろ、五分。まぁわしらは得しかないんじゃが……』
翌日、同盟の皆さんと情報の共有です。
仰りたいことは分かります。私だって「こんなすごいアドバイザーがいてなんか申し訳ない」という罪悪感から皆さんと共有しているところがあります。
『とりあえず分かりましたが、結局マモンは召喚しませんのね?』
「はい。よほど切羽詰まった時でない限りは召喚せずにいきたいと思います」
『【傲慢の悪魔ルシファー】と戦う時もですか?』
「はい。出来れば」
マモンを味方にすればルシファーの情報が入るかもしれない。それは思いました。
しかし逆に言えば「それ以外の使い道がない」とも。
私の塔はすでにユニコーンがいますし、これから先にも神聖属性の魔物は増えるでしょう。
そうなると完全に隔離することになりますし、中ボスとしてどこかに置いておくくらいしかできません。
今回のように部隊に入れることもできませんしね。
「何より気持ち悪いので配下にしたくないです」
『まあそれはそうですわね。お察ししますわ』
『名前とステータスが分かるだけでも有意義なんじゃがのう。特に
【傲慢の塔】には異世界人の
あの人がどんなステータスでそんなスキルを持っているか。それが分かれば確かに安全です。
「それはもうドロシーさんにお願いしますよ」
『せやなー、買っちまうかなぁ……【忍耐の天使ウリエル】58,000TP……』
『他に大天使級の魔物を持っていて
『お、おすすめされてた【審判の塔】は天使がいるとか仰ってませんでしたっけ?』
『大天使はおらんはずじゃ。リストにあるのかも分からん』
天使にも色々と階級があるそうなのですが、【
セラさんがどういった名前の天使なのかも分かりません。
あとは【聖の塔】とかだったら絶対持っているでしょうけどね。第二位のSランクですが。
『シャルロットさん、それと【傲慢の悪魔ルシファー】の固有スキルというのは?』
「レイチェルさんも大雑把な情報しかないそうなのですが、なんでも【敵より強くなるよう超強化する】というものらしいです」
『『『『はあ?』』』』
私も全く同じ反応をしました。
おそらく<人物鑑定>で相手を計り、それより上回るようにバフ的な強化を行うのだと思います。
それがステータス全てなのか、一部なのか、何か条件があるのか、そこら辺は不明とのこと。
【強欲の悪魔マモン】は敵と三つ入れ替えることで敵より優位に立ちました。
ステータスの入れ替え、そして『無手』と『魔剣』の交換。
これによりバフとデバフを同時に行ったのです。
一方で【傲慢の悪魔ルシファー】はバフがメインになるだろうと。そうした違いがあるわけですね。
『そんなんエメリーさんでも勝てんやん』
『いや【魔剣グラシャラボラス】でいかようにも出来るのではないか? 今回みたいに奪われはせんのであろう?』
『分かりませんわよ? 魔剣を上回る剣を創り出すかもしれませんわ』
『あー、<アイテム鑑定>で見たものより強化すると……確かにそうかもしれませんね……』
色々と考えられますが、よくよく見ると穴のある能力にも思えます。
エメリーさんはすでに攻略法を見出しているようですがね。
ただ恐ろしい能力なのには違いないので注意は払うべきでしょう。
『その<鑑定>を防ぐことはできませんの?』
「無理らしいですね。ですよね、エメリーさん」
「魔力を用いるスキルではなさそうですし、使われた気配すら分かりません。対処方法としては【見られない】か【特殊な限定スキル】くらいしか思いつきません」
『バリトン子爵の
私もあの透明外套なら大丈夫かと思ったのですよね。
でも無理でした。セラさんにすでに試してもらっています。
『新年祭で見られていたとするなら天使や悪魔を連れていた……レイチェル殿、【聖の塔】関係、あとは【強欲】くらいのものか?』
『悪魔抱えてそうな塔はおるけどな。新年祭にはおらんかったな。やっぱ民衆受けが悪いんやろか』
『え、Aランクの【暴食】とかBランクの【色欲】とかですよね……やっぱり召喚してないわけないですよね』
『見られてないと思うのは危険でしょう。何も大天使・大悪魔に限った話ではないでしょうし』
ですよね。私もそう思います。
高位の魔物なら<鑑定>を持っていてもおかしくはないですし、塔主だって【限定スキル】を持っているかもしれない。
もう知られていて当然くらいのつもりでいたほうがいいでしょう。
『ともかく情報ありがとうございますわ、シャルロットさん。レイチェル様にも感謝を』
『さてこれをもって対策しなければならぬが……まぁ何をするにもTPじゃな』
『
『あはは……それだけあってもすぐ消えちゃいそうですけど……』
あくまで目標を【傲慢の塔】同盟と戦える状態にするとした場合、ネックになるのは【神聖属性の強化】と【限定スキル】になるでしょう。
【限定スキル】のほうは置いておくとしても、【死屍の塔】と【傲慢の悪魔ルシファー】を考えれば神聖属性の戦力増強は必須です。
現状ではノノアさんがなし、アデルさんが
この中で主戦力と言えるのは
これにドロシーさんの【忍耐の天使ウリエル】が加われば戦力的にはだいぶ安定すると思います。
Aランクの塔の魔物の質は相当高いでしょうからそれに対抗する為にも全体的な『量と質』も課題。
そうなるとやはりTPを稼いで塔を強化しましょう、といういつもの結論になるわけです。
地道な塔運営か
「ああ、そうだ。ノノアさんに適当な装備品をお渡ししたいのですよ。【強欲の塔】の押収品ですが」
『えっ、いいのですか?』
「うちでは使い道が限られますし、【世沸者の塔】の″商品″にして頂ければと」
『も、申し訳ないんですが、でも、その、ありがたく頂きます』
「何点かあとで持っていきますね」
【世沸者の塔】はやっと二階層到達者が出たようなのです。おめでたい。
まだ一組だけですが、おそらく冒険者ギルドでも話題になるでしょうし今後も増えるのではないでしょうか。
『あのお宝に混ぜるんか? 装備とお金ドドンって感じで』
『えっと、それもそうですけど二階層にも置きたいなって。やっぱり探索のモチベーションになると思いますし』
『でしたら二階層に置くのはより高価なものにしないとダメですわよ?』
『は、はい、大丈夫です。というかその時はまた相談させて下さい』
出来れば私の考えたギミックの商品にして欲しいところですが、まぁ任せちゃいますか。ノノアさんの塔ですし。
でもこれで侵入者が増えて探索が進んだら、もう二階層の最後は大ボス部屋なんですよね。
そこまで行くとも思えませんが、いずれ到達してもおかしくはありません。
もしそうなった時、名誉と報酬の為に制覇してしまうのか。
それとも「お宝がいっぱいの塔だから残しておこう」となるのか……どうなんでしょう。
『ああ、それと新聞の取材依頼がまたありますわよ』
『まーたか。何度も何度もアポイントを……よおやるわい』
『うちらの記事がそんだけ売れるってことやろ。人気者はつらいわー』
『わ、私もうそんなに喋ることないんですけど……』
一度目のインタビューを載せた新聞がバカ売れしたらしいんですよね。
それで「もう一度!」みたいな感じでずっと言われていたみたいです。
ただ年末からずっと今回の
『今ならば受けてもいいかも、と思っていますわ。こちらは塔運営に専念し、侵入者は増えている状況。ならば鉄は熱いうちに打てと』
『まあ一理ある。わしらの目的がTP稼ぎであるならばその一環とも言えるしのう』
『大変やなー、人気の維持っちゅーのも』
『えぇぇ……』
私も夜ならばいいですかね。今はあまり休塔日にしたくないですし。
ただ鍛冶屋さんに行かないといけないのでその時は休塔日にするしかないのですが。
だからこそ取材の日は休塔日にしたくないと。
段取りはアデルさんにお任せしましょう。外交はお貴族様がお得意でしょうから。
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