九、伴侶
動物が多い。
一言で表すとそのような印象だ。
いや、少しだけ正しくないかもしれない。
この街は、動物を連れ歩いている人が多い。見た限りではすれ違う人々は例外なく動物を連れていた。犬猫のように馴染み深い者から始祖鳥に似た者まで、連れている 動物は幅広い。共通しているのは、一人に対して動物が一頭であることとだろうか。
反対に動物のいないわたしが不思議に思われたようで、申し訳なさそうな表情で訊ねられた。
わたしが旅行者であることを伝えると、その人は安心したというような顔つきで息を吐いた。
この街の方は必ず一人一匹ずつ動物を飼っているそうだ。いわゆるペットとしてではなく、生涯を共にする伴侶として。
もちろん、婚姻制度はある。人間同士で言う恋人、夫婦という関係とは少し違う関係であるらしい。
「もう一人の自分と言ってもいいかもしれません」
とその人は言う。
赤ん坊が産まれたとき家に動物が一頭来て、赤ん坊はそれと一生を共に歩むのだと。その人は肩に乗った動物を慈しむようにそっと撫でた
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