アップルパイと花束

中村ran

第1話

あなたにもらったものは何があるだろう。


思い返せば楽しいだけだった中学生活。なんの成長もなく彼氏もいない。

だけど、恋をした。


あれは高校生になって少しした頃、掃除をさぼって教室前の室外機の横に座って友達ののん(本名は菱川のん)と話していた時のこと。のんは2ヶ月ほど前まで篠崎そらと付き合っていた。傍から見ればのんの一方通行のような恋愛のまま終わりを迎えた感じだ。

私は篠崎くんと中学で同じクラスになったことがあり、好きなバンドが同じでよく話していたが、高校に入ってからは同じクラスなのに、全く話していなかった。

教室に1人残って片付けを儚げにしている姿を見て気付けば好きになっていた。


そのことをのんに話してから、私の恋がスタートラインに立ったのだと思う。

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