第10話 ゴミ屋敷付近

美浦 幸平



「さて、この現場の担当の人は……?」


 ゴミ屋敷片付け業者の人を探した。

 

 車内のラジオでは、今年に入ってから記録的な猛射の日だそうだ。瞬く間にうだるような暑さで、汗が額を滴り落ちていく。

 

「美浦さーん。エアコン付けていい?」

「外よりは涼しいッスよ」 

「美浦さんも車の中で待てばー」 

「担当の人まだー」


 住所はあっていた。

 住宅街の中央にあるし。

 丁度、陸橋も近くにあるし。

 

 だが、静かだった。


「おや?」


 玄関前のスペースには、ゴミ袋や衣類が埋めてあったので、気がつかなかったが、ドアは開いていた。


「みんな。勝手に作業してよう。日が暮れる。きっと、担当の人は後から来るんだよ」

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