第12話 工場内 その2

大久保 徹



 お腹が空いてるけど、両脇の歯車や機械が徐々に近づいてくるから、ぼくは必死に急いだ。息が苦しいけど、おじさんと一緒に走った。サイレンや機械が回転する騒音で耳が痛かった。


「ハア、ハア、ハア、おじさん! あれ? あれ何……? あの黒い水たまり?!」


 息が苦しいけど、走りながらおじさんに聞いた。


「ゼエ、ゼエ、ゼエ、徹くん! ありゃ多分、コールタールだな!」

「あの中に入ろう!」


 前方の巨大な溶鉱炉の傍に、黒い色のコールタールの溜まりがあった。


「駄目だ! 発癌性がある!」

「でも!!」

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