第27話 医者の不養生

うんポポ、うんポポ、うんポッポ♪

はんにゃ〜あびらびら〜♪

朝から、謎の奇歌とも奇声とも言える軽快なリズム

。御経?ともとれるリズム。。。

朝からご機嫌な証の夫。

御説法よりは良い!と頭を切り替える。


私は、どんどん眉間にシワがよるが勿論気付くわけもなく、歌い続けている。。。

ある程度たったところで、それはどうしても歌わなくてはいけないのか聞くと…「楽しいだろ?」と。

彼の口癖は、俺の喜びはキミの喜び。。。


そして着ているパジャマは、ズボンがほぼ原型を留めていない。

股がほぼ裂けている…スカートなのか、民族衣装なのかといったところ。

縫えという夫と、それに抵抗する妻。

ネットで購入した年季の入ったパジャマに、30センチ以上裂けた股。。。

繕うを超えている…そして最大の抵抗する理由は、彼は98キロ、縫っても直ぐにまた裂けてしまうから。

普段履きのズボンもお尻が摩擦で破れ、ポロシャツも脇が裂け、お腹部分はベルトの金具が刺さるのか穴があく。

その度に繕うのだが、また数日すると98キロの巨体にやられてしまう。

大谷選手並に鍛えたスポーツ選手や力士には程遠く、鍛え上げられた身体というよりは〜信楽焼のタヌキさん。

あのタヌキさんは愛嬌があり可愛らしいが、その愛嬌もない。


コロナ前、旅先で遊園地に出掛けた夫と子供。

普段は認められない遊園地も、旅先では「観光地」として、稀に遊園地の立ち寄り許可が出る場合がある。

はしゃぐ子供。

しかし、問題が起きた。

並ぶ事が苦手な夫が、奇跡的に乗り物に並び〜いよいよ乗る番がきた!

しかし、夫が体重制限にあったのだ。

子供は、乗りたい。

彼は次々と服を脱ぎ、真冬なのにポロシャツ1枚になるまで脱ぎ捨てた。

彼に、恥ずかしい等という概念はない。

無事に体重制限をクリアして乗車。

帰宅した子供から、事情を聞いて苦笑。

ここまでいくと、まあ笑うしかない。


私や子供たちの体型を見て、「お前太ったな、運動こそが〜○×△☆♯♭●□▲★※」と得意の御説法。

今度、彼の破れを縫う時は「医者の不養生」と縫い付けておこうと思う。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る