第26話 通信簿

本日、次女の病院検診日。

朝から怖ろしいほどの反抗期。

仕方がない…。

更には、学校の個人面談ときた。。。

どちらの「通信簿」も気が重い。

気の重さで言えば、検査結果の「通信簿」の方がずっと重い。


病院で検査を受ける度に、代わってあげたいと思うけれど、それは言わないことにしている。

理由は、まだ次女が小学校低学年だった頃に参加した同病家族会での出来事。


次女は希少な病の為、家族会に加入して治療や生活について、年に数回情報交換会に参加している。

ある夏の交流会、可愛らしい20歳くらいの次女と同じ病の女性が、座談会の最中に「質問はありますか」?と聞いてくれた。

なかなか質問等する機会がない保護者達は、日常の小さな困りごとを質問する。

その中で何方かが「親に言われて嫌だった言葉はありますか?」と聞いた。

彼女は「代わってあげたいです…」と答えた。

保護者の間に、ちょっとしたどよめきが起こった。

私も、その瞬間は不思議に思った一人だったと思う。

「どうしてですか?」と質問者が更に質問を重ねる。

「私は…代わってもらうほど不幸でないからです」と彼女も再び答える。

皆、一斉に下を向いた。


「代わってあげたい」…勿論、どの親も子供達がどれだけ治療を頑張っているか身近で見ている。

治療が上手くいかず、検査結果に落ち込む姿も何度も見てきた。

周りからは全くわからない病ゆえに、歯がゆい事も多々ある。偏見もある。

代わってあげたいのは、皆本心だろう。

ただ、彼女の言葉は静かに突き刺さった。

そう不幸ではない。。。


それから、代わってあげたいは言わない。

ハンディキャップのある方や、病と共存している方々、学歴も家柄も…代わってあげたいは、捉え方によっては、極端に言えば貴方は不幸ですとも捉えることができると学んだ。


代わってあげたいではなく、対等に一緒に考える。

私は、まだまだ修行の真っ最中。。。

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