第16話 検診の日
月に一度、とても大切な日がやってきた。
下の子の定期検診の日。
今日から学期末テストが始まったが、検診を休む訳にはいかない。
月に一度通知表をいただくように、検査結果を受け取る。
通知表よりも、ずっと重い。。。
本人は、朝から機嫌が悪く…毎月検診の日は、朝から1日中荒れる。
こんな事をずっと続けて、春で発症10年目。
検診の帰りは必ず病棟を見上げ、入院していた部屋を確認すると決めている。
過ごした日々を思い出し、よし頑張ろう!と思うから。
あの場所に再び戻ることないように。
退院の日、まだ小さかった子供と手を繋いで、やっと一緒に外に出られた喜びと、これからどうやって治療と向き合い生活していくのか、新しい生活への不安に押し潰されそうになりながら退院したあの日。
夫はビジネスクラスに乗り、イラン豪遊旅行を満喫していたあの日。
退院の日に、彼は日本にいなかった。
その当時イランは治安が不安定で、あまり旅行には適していない中、彼は我々を病院において旅に出掛けた。
私は、病院と自宅〜各々で過ごす二人の子供が、少しでも不安にならないようにと、一人駆けずり回り、どうやって生活していたのか今も不思議なくらいだ。
月日が流れた今でも…私と子供達は、夫が見せてくるイラン豪遊写真を見ることを避けている。
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