第57話

「私は先生を好きになって幸せでした。そして先生のために努力するのも苦じゃなかったし、楽しかった」


「……」


「そして先生に会えて、こうして一緒に過ごせて幸せなんです」


「でもそれは、他の誰かに向くはずだった感情を俺が無理矢理付け替えたようなものだから――」


「他の誰かって誰ですか!」


「……」


「私は先生が好きなんです!他の誰かじゃなく、今も昔も先生が好きなんです!」


「……」


「先生は、私のことが好きじゃないんでしょ……?」


「わからない……」


「先生は優しいから、そうやって言うと思ってました」


「……」


「10年前に2か月あっただけの中学生に好きって言われても困りますよね」


「それは……」


「でも、それも関係ないです」


「えっ……?」


「私の好きという気持ちは本物ですから、たとえ先生が私のことを好きじゃなかったとしても問題ありません。これは私の気持ちですから」


「亀石さんの、気持ち……?」


「そう、私には私の、先生には先生の気持ちがあるんです。私のことが好きじゃなくても、私に対して負い目があったとしても、それは仕方のないことです」


「いいの、かな……?」


「いいんです!だって、私はそんなの全部ぶっ壊して、先生に私のことを好きだって言わせてやるんですから!」


「もし、できなかったら……?」


「できるまでやります」


「すごく、時間がかかるかもしれないよ……?」


「もう10年待ったんですよ?あと10年は頑張れますね」


「それは……、すごいね……」


「だから覚悟してくださいね。私は結構執念深いですよ☆」


「うん……。覚悟しておくよ……!」


「それじゃあこれからは、長い付き合いになると思いますが……」

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