第7話 やっぱりお友達は欲しいよね

もうすぐももが亡くなってから1年になろうとしていた。

相変わらず職場ではストレスが溜まっている。

これ以上そんな日が続くと、精神的にも良くないのはわかる。


もっとも、もっと酷い状態の体験もしているので、

四面楚歌だったその時に比べれば、まだずっとましだ。

大丈夫、まだ大丈夫だ。仕事を辞める気など更々ない。


そんな中、相方が声をかける。


「やっぱり、まる一人だと可哀そうだから、お友達を探そうよ」


しかしながら、これまでの出費はかなり大きかった。

結局、3人とも入院したし手術もしたし、いくら保険に入っていても

ばかにならない金額だった。

更に昔と比べても、お猫様の購入代金はかなり上昇している。

近所のペットショップではないが、いくらチャンピオンの血統とはいえ、

50万とかの値段を見たら、ちょっとなぁと思ってしまう。

やっぱりお友達を探すのは無理じゃないか?


「譲渡会っていうのがあるみたいだから、行ってみない?」


相方が色々調べてみて、近いうちに比較的近い場所で

譲渡会があるとの情報を得た。

譲渡会は、保護猫や保護犬の里親になってくれる人に譲渡するというものだそうだ。

もちろん血統書付きの猫ではないが、そこまで拘るつもりはなかった。


もし気に入る子がいなかったら、また次回にしようと思っていたが、

運命的なものを感じる出会いがあった。

ケージのベットに丸くなって寝ている5人の猫たち。

その中の1人が、とても奇麗な茶色の毛並みをしていた。

残念ながら5人すべては無理だけど、この奇麗な毛並みの子を

引き取る事にした。本当にまだ小さい子だ。

こんな小さな子を育てるのは、もも以来だ。

ちょっと不安はある。でもまるのお友達になってくれるはずだ。


そして恒例の揉めながらの名前決め。色々案が出たけど、

最終的には、まるで金色に輝く麦畑のような毛並みから、

『むぎ』という名前に決まった。うん、納得かな。

元気に育ってくれるといいな。




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