CAT IN THE RAIN

榊琉那@屋根の上の猫部

第1話 我が家に初めてやって来たお猫様

ふとしたきっかけで思い出す事になった初めての飼い猫の事。

初めて出会った時の事から思い出してみようか。


もう十数年前になるだろうか、相方といつものように

出かけて覗いてみた某所にあるペットショップ。

可愛い子猫たちが展示されているのを、いつも楽しんで見ていた。

飼いたいと思った時もあったけど、今までまともにペットを育成した事なんて

無かったし、(祭りの金魚すくいで貰った金魚も1週間で全滅したり)

猫を飼う事なんて一生ないんじゃないかなと思ってはいた。

でも、そんな気持ちなんて吹き飛ばすような出会いがあった。


彼女はお上品に、ちょこんと座っていた。まだ生まれて2か月くらいだろうか。

兎に角、小さくて可愛い。ずっと見ていても飽きない。

まるで一目惚れのようではないかと。

くりくりとした目に見つめられると、何とも言えない幸せな気分だ。

スコティッシュフォールドだけれど、折れ耳ではなく立て耳。でも可愛い。

スコには珍しい、まるで三毛猫のような模様。やっぱり可愛い。

何と言うのか、他の子と比べても段違いに可愛いのだ。

これはすぐにでも売れるんじゃないかと確信していた。


「この子、可愛い!うちの子にしたい!」

と相方は宣うが、さっきパソコンを買ったばかりじゃないか。

流石に無理だろうと思った。血統書付きだから、

パソコンと同じくらいの値段はする。ローンはどうするんだよ?

「まぁ何とかなるよ」

無責任な相方だった。でも、気になるよなぁ。


「よろしかったら抱っこしてみませんか?」

迷っていたら店員さんに声をかけられてしまった。

でもまぁ折角の機会だからと、抱っこさせてもらう事にした。

でもどうすればいいんだろ?


こんな感じでと店員さんが説明してくれた。

恐る恐る抱っこしてみる。

逃げないだろうかと心配したが、とっても大人しくしている。

温かくて儚げなくらい軽い。ダメだ、買いたくなっちゃうだろ。


結局、買うかどうか保留にして一度家に戻った。

そして相方と話し合う。迷った挙句の結果は……、


「やっぱり欲しい!」


こうして新しい家族を迎え入れることになった。

お店の人に説明を聞いて契約をする。

ケージとかもないし、買わないといけないものも沢山だ。   

っていうか、育て方もよくわからないのに大丈夫なのか?

まぁ色々な準備もあり、一旦は、お猫様はお店での預かりとなった。


そして相方との言い争いとなったのは、お猫様の名前をどうするかだ。

色々案を出してみたが、双方納得するような名前は出てこない。

まさか何日も揉めるとは思わなかった。

最終的に、相方の提案した『もも』に決定した。

ありふれた名前は嫌だと反対したが、悪い名前ではないと

押し切られる事になった。まぁ可愛らしい名前だからいいなと思う事にした。



色々な準備も出来た。初めての経験だから不安もある。

でもこの可愛い子と暮らせるのなら何とかなるだろう。

ペットショップに向かい、ももを迎えいれた。

末永く仲良く暮らそうよ。



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