恋の悪魔(キューピッド)!?

森秋

プロローグ

夕日に焦げた赤い教室に、一人たたずむ君を見た。

初秋の風はそっと頬に触れながら夏の終わりを告げていく。

君を包む放課後の光は、

しなやかな長い髪が揺れる度、ひらひらと表情を変え、

流れるように美しく伸びた肢体や、人形のように整った顔は

彼女を作り物みたいに綺麗に見せていた。

そんな君の頬に涙が伝う。

華奢な肩を震わせることもなく、

涙以外何ひとつ変わらずに

ただ静かに溢れていく。

その涙だけが本当の君の在り処を伝えるように。


僕は知らなかったんだ、こんなに美しいものがあるなんて。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る