第9章:コンチェルト・グロッソの時代

### コレッリの遺産


 バロック音楽の発展において、アルカンジェロ・コレッリの影響は無視できません。彼は協奏曲形式の発展に大いに貢献し、特に「コンチェルト・グロッソ」の形式を確立しました。コンチェルト・グロッソは、小さなソログループ(コンチェルティーノ)と全奏(リピエニ)の間での対話に焦点を当てた作品形式で、バロック音楽の重要な特徴の一つとなりました。


 コレッリの作品は、その明快で親しみやすい旋律、洗練された形式感覚、そして音楽的な対話の巧みな扱いにより、広く愛されました。彼のスタイルと技法は、後世の作曲家に大きな影響を与え、バロック音楽の発展に寄与しました。


### ブランデンブルク協奏曲への道


 コレッリのコンチェルト・グロッソの形式は、多くの作曲家によって引き継がれ、発展させられました。その中でも特に注目すべきは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの「ブランデンブルク協奏曲」です。


 バッハの「ブランデンブルク協奏曲」は、コンチェルト・グロッソ形式を用いながらも、その形式を超えた音楽的な探求を展開しています。各協奏曲では、様々な楽器組み合わせが試みられ、その中での対話や競演が巧みに描かれています。


「ブランデンブルク協奏曲」は、バロック音楽の協奏曲形式の可能性を最大限に引き出した作品であり、同時にバッハの音楽的な創造力と技巧を体現したものと言えるでしょう。


### まとめ


 バロック時代の音楽は、作曲家たちの創造力と技巧、そして音楽形式の革新によって発展しました。コレッリに始まるコンチェルト・グロッソの形式は、バッハによってさらに発展し、バロック音楽の多様性と深遠さを示す重要な要素となりました。こうした形式の探求と発展は、バロック音楽が豊かな表現力と広範な影響力を持つことを可能にしました。

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