「読心」


少し開いた窓。熱い風と涼しい風がまじる。窓際の席、廊下側の彼女は遠い。横顔をちらりと眺める。視線は教科書なのに唇が笑っていた。僕も教科書に目をやる。駄目だ。何が面白いのかわからない。さっきの授業何か面白かったのと気軽に聞ければいいのに。それかエスパーのように心がわかればいいのに。



また変わった。窓際に座る彼は、ころころと表情が変わる。勝手に覗いちゃ駄目だ。超能力を持ってる私は人の心が読めてしまう。父が見つけた石を握ると読心だけは抑えられる。今度は教科書とにらめっこをして悩んでいるみたい。何を考えているのかな。ん、心の声がもれてしまった?彼と私の目があった。

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