アサだから当たり前かもしれませんが、金髪さんも強いですね。

＞壊すのは簡単だと。救う方がよっぽど難しいと。
＞だから壊さないように気を付けてきたのだけれど。
精神的な圧倒で勝利を掴んできたカイン。アサに入った時から殺しをせざるを得なくなる立場でしたが、一線を越えてしまいそうな描写が怖いですね。

＞「んじゃま、朝が来る前に終わらしますか」
＞その言葉が、アサの仕事の始まりだった。

ここの文章が好きでした。
アサは不穏な空気満載ですね。初対面なのに軽妙なやりとりをしている男二人が面白いです。
アサに入ったカインの行く末はどうなるのでしょうか。

本格的にアベルとカインが分かつ時に向かっている感じがします。静かだけれど不穏な雰囲気ですね。

『「知ってるか、カイン。ママっていうのは母親の呼称だ」』
『おれらに母親なんて必要なかった。ほしくもなかった』
二人のこの部分で、人間の奥底にある“母親”という存在の大きさがわかるような気がしました。
どうやっても、“生”と“母”は切り離せないものなのですよね。

＞満足を知らなければ幸せにはなれないのだから。
真理だよな、と思いました。満足を知らない故に渇望して欲を肥大化し、最後に自分の首を絞める。
耳に痛い一文でした。

そう苦しまずに死ねたのなら良かったじゃないか、というアベルの言葉も、前回の生まれて可哀想という感想も自分的には共感できる思いでした。
じわじわと変化していくユートピア。不謹慎かもしれませんが、あらすじに書かれているようにアベルが亡くなった時、どんな変化が起きるのか気になりますね。

お忙しい中、新作の公開お疲れ様です。
あらすじからどのようなお話になるのか気になりますね。カインとアベルの物語がどのような道をたどるのか楽しみにしています。