毎月短歌

石村まい

アルペジオ



秒針は刃でもあり夕焼けへ診療所の影ながく伸びゆく



デラウェアを歯で剥いてゆくこの夏に逢いきれなかったひと数えつつ



マーガリンとは知らされずじゃがいもは湯気ひからせてほっくりと待つ



「ETCカードが挿入さ「していません」」ふたり叫んで祝日を発つ



眼裏にきみを放てばアルペジオめいて色づく庭園がある

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