吸血

濡れたショーウィンドーは


物語っていた



生きているのか

死んでいるのか

はっきりしない世界の中で


さ迷う死人の姿──紛れもない僕の姿を映していた




そこで

ようやく気付いた

雨がいつもより冷たいことに


それは十分も経たずに

凍死してしまいそうなほどだった




僕は慌てて


傘を持たないこの身体を庇いながら


行き交う人間の喉仏を


ナイフで切り裂いた



そこから


迸る血が


噴き出す血が


堪らなく温かい




..あぁ、



人間の血は


こういう寒い時には


ちょうどいい


暖を与えてくれる

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