第56話 やっぱりロクなもん作って無かったよね

ササラから、完成したとの報告を受け。鈴とカイがその銭湯にやってきて最初に出た一言が「「やっぱり……」」だった。



まず、鬼瓦が本当に様々な暑苦しい笑顔の漢の顔面が彫り込まれ若干黒く光っているのが判る。更に暖簾に男と女と書かれている所まではいいが、番台の奥が二重扉になっているのでしめれば番台からでも奥は見えない等の工夫は流石だなと感心する所だが。



扉に立体的にパンイチの男と女が立体的に彫られていて、何のために扉をとりつけているのかさっぱり判らないセンスになっていた。


番台の手前が売店ルームになっていて、マッサージチェアや夜食等酒以外のものは全部完備でステージが作られカラオケも出来る様になっているではないか。


ただ、そのステージから下がっている幕の絵柄が皿屋敷のアンデットが井戸から出てくるデザインでなければなおよかった。


他にも、ドリンクを販売する為の冷蔵庫がペンギンの形をしていたり。アイス用の冷凍庫が雪だるまだったりと可愛いセンスのものもある。



「おい、シエルとか言ったな。もし、女風呂にヤバそうなもんがついてたらこれで吹き飛ばせ。俺が許す」そういって自分は爆発物を渡したらさっさと男風呂の扉を開け着替え用のロッカーやドライヤーに鏡まで備え付けられていて「異世界情緒どこいったんだよ……」なんて文句を言いながらも引き戸をあけて確認していく。



備え付けのシャンプーに、お湯と水が無限に出る魔石蛇口とシャワー。

ツボ湯やら水風呂にサウナまであるのを見てよくぞここまで作りこんだなと思った矢先、一番大きな大風呂の横からお湯を出しているそれ。



酒場で酔いつぶれてた、冒険者の生首と同じデザインでマーライオン仕立てにしてある給湯設備を見て溜息をつきながら拳でカイが無言で叩き壊し。更に横では、角質を食べてくれる魚を放流しているかと思いきやGを密集させて結界で出られない様にしているG風呂等が用意されていたのでそれもカイがインフォルノぉぉぉぉぉぉぉぉぉと叫んで消し飛ばしていた。


「ほんっっっと、ロクでもねぇもん作るなあの人は!」


後で、給湯はシシオドシとかそういうのに変えて貰おう。こんなのをお墨付きにしたなんて外聞が悪すぎる。



※既に評判は最底辺なのである意味では問題ない


壁にシステムが貼ってあるな、何々浄化層に一度汚水を流し込んでその後完璧に浄化して海に流す様になってんな。つか、これ元の世界にあった水道より数段上の浄化設備じゃねぇか魔法と術式でメンテナンスフリーだし。何より、パイプ詰まりとかも存在しねぇときたもんだ。トイレも風呂も設備でさえ時戻し術式で翌日にはピカピカになるからとにかく手がかからねぇようになってやがる。つか、この頑丈さなら師匠か俺が壁ぶっ壊すとかしなきゃ地震も火事も対応できるし地震対策で建物が浮上する様に作られて。避難場所としてもつかえるぞ、なんせ水とお湯だけは無限に手に入るってのはデカすぎる。



※機能だけ見れば神だが、センスのせいで全て台無しになっていくスタイル。



「これだけの機能を詰め込んでいるのに、持ち上げてるブースターが何で体操座りで屁を放つようなデザインの柱を全てにしかもリアルに彫りこんでんだ」


何処までも、無駄な所に力が入りまくっているそれを見ながら一滴の涙をこぼした。



しかも、この柱俺が雷霆剣ぶっ放してもヒビ一つ入らない強度にしてあるって。

異世界だから想定してんのは、幻獣か神獣か何かかよ。



「これで、この酷いセンスさえなければ……」無いモノねだりしたってしょうがないけど。


一通りチェックを終えて、外に戻るとそこには鈴とシエルの二人に悪鬼羅刹の顔でほっぺをみょいんみょいんやられているササラが居た。


「なっ…、なひぇ~」「「何が、黒い密集Gのお・う・ち・は~とよ、冒険者の首はまぁ女冒険者の顔だったから許すとしてもG風呂は消しなさい!!」」


(あれあっちにもあったんだ、つか女風呂のマーライオンは女冒険者なんだ……)

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