第43話 超高速世紀末式ダンジョンアタックだよね

「しっかし、成長して管理しきれなくなったダンジョン潰して欲しいって無茶いうよな」

カイがダンジョンの入り口でぼやく、街から少し離れた所にあるそれは資源として街の重要な財源になっていたのだが。


「しょうがないわよ、深い所に行くとなったら灯りも物資も持つもんじゃないし」


「アイテムボックスはってそんなもんあったら街から街の運輸の方が楽で安全で稼げるわな」


「どんな、世界でも楽で安全に稼げる方法があるならそっち行くでしょって事」


「違いねぇ」「スラムをコンビニ感覚でよって潰してたら、ダンジョンもふらっとコンビニ感覚でよって潰して欲しいとか依頼されたんですけど」


「冒険者はせちがない」「師匠はなんでついてきたんだよ」「鈴が手伝って来なさいって」「かーちゃんかよ」



「普通に攻略とか、面倒すぎるので今回もサクッとやろうと思います。財宝とか宝箱なんていらんのですよふひっ」


「そのやべぇ笑顔からして、いつも通りロクな事考えてなさそうだな師匠」


「今回は、カイ君も手を貸して欲しいであります」


「俺にも仕事があるの?」「私が水を創造魔法で流し込むんで、こう電撃魔法でバチバチっと頼める?」「やっぱりロクでも無かった!」「でもここ深いんだろ?水であふれさせるなんてできるのかよ」「普通にやったら、ダンジョンの処理能力が上回っちゃうので無理でぇす」「じゃどうするんだよ」



「創造魔法:オリンズスクリュー」「何これ?」「5000馬力エンジン搭載の一分で681キロリットルの水を吐きだすスクリューポンプ」「酷い力押しだった件」


「足りなければ台数を増やします、さぁダンジョンコアがどの程度出来るのか見せてもらおうじゃない。異世界のコンピュータAIと私の妄想力の総量と勝負でぇす」


「これは酷い……、もしかしてこれも城壁の中に注ぎ込んで水圧で街ごと水洗トイレみたいに」「余裕でぇす」「ハァーーー?!」


そういうと、うっきうきで「殺らないか?」と可愛くポーズをとった。



「はい、レッツゴ!」



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……、水が流れる音を聞きながらササラはビニールシートを広げておやつを食べ始めた。



「水の音がうるせぇな」ビニールシートの上をパンパンと叩くササラ、それがジェスチャーだと判ったカイが座ると水の音が消えた。


「防音も完璧だってか」「私は、読書してるからそこのメーターが紅くなったら教えて」

「あん?なんだこのビニールシートについてる体重計みたいなメーターは」

「今このダンジョンがどの位水で埋まってるか、これで見れる」


「あぁ?師匠いつ測ったんだよ」「それも、創造魔法で勝手に作ったものでぇす」「迷路や罠の意味よ……」「普通に攻略とかただのバカじゃん、これなら食料や水なんか持ち込まなくてもまるっと解決♪」「んで針が赤になったらもう、水が一杯になってるから俺が強力な電撃ガンガンぶち込めば壊れるってか」「いぐざくとりぃぃぃぃぃぃ!」「普通ポンプに電撃はまずいんじゃね?」「電撃と水圧対策しかしてません、しかしそこだけはバッチリドラゴンだろうがベヒモスだろうがダンジョンコアだろうがこんがりいっちゃいましょ(はぁと」



はぁぁぁぁと深いため息をついて、ごろりと横になる。



「もう、俺師匠が何だしてもおどろかねぇよ。てかこのポンプも作ろうと思ったら手作りできる訳?」「デカい組み立て工場とか産業炉とか色々必要だけど、既存のポンプを束ねてどうこうするだけだから時間さえもらえればってトコね。作ったら鈴にほっぺつねられそうだからやらないけどね」「つねられなかったらやるんかい!」


「大体、バツとしてダンジョン潰してきて欲しいだなんて面倒な仕事手抜きしとくにきまってんじゃん」「品質、速さ、目的達成だけできてれば手段は選ばないと?」


その台詞に親指をぐっと出して、微笑むだけのササラ。ゲッソリ顔のカイウェル。


その後、水が溜まってカイウェルが黒雷ぶっぱしてダンジョンは滅びた。

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