第42話 正座させられちゃうよね

「姉さん……、魔装姫神は必要なかったでしょ!カイ君が止めてくれなかったらどうするの、街ごと吹っ飛ばすつもりだったの?」


「ふぁい、スラムは吹っ飛ばすつもりでやりました」


鈴に往復ビンタを貰って、ほっぺがパンパンにはれているササラが返事した。


「全く、二人ともちょっとコンビニ行ってくるみたいな感覚でスラムに行くなんて。大体、そんなもんぶっ放したらスラムどころか街ごと消えてなくなるわよ。こっちの建物は脆いのよ?」


しゅんと項垂れてはいるが不満顔だ。


「カイ君も、カイ君よ。姉さんほっといたら、ロクな事しないの判るでしょ?」


「すいません、流石に魔装はまずいと思ったから止めたけど。ほったらかしにして、用心棒とバトってました」


そういうと、カイだけゆっくり立たせて。カイに向かって手で催促するようにくいくいと手で合図し、カイが苦笑して自分の服を脱いで鈴に預けた。


「服の洗濯と補修やっとくから、これ預かるわよ?」


「わりぃな」「あの、私は……?」「姉さんは、もう少し座ってて!」


「らじゃりました……」


カイは、新しい服を着るとササラに話しかけた。


「流石に、あれはやりすぎだってさ」「ふぁい」


「鈴さんには言うなよ」そういって、左手を軽くかざして治癒魔法をかけた。



「ふぃ~、あんがと」「どういたしまして、俺にも責任あるしな」


結局、拳骨一撃で更地にしたあのロボは他の地区からも見えていて。領主の兵にはカイが説明して、なんとか事なきを得たのだが。


「カイウェル様、あんなヤバそうな術二度と出させんで下さいね!。あんなのほいほい出されたら我らじゃどうにもなりません、でも領民は守らにゃならんのです。お分かりですね?」


とばっちりに釘を刺され、今ササラが鈴にされた様にカイウェルが注意されていたのだが。それに対して、カイウェルはいった。


「師匠には言っとくけど、期待すんなよ。あと、師匠の胡椒を最初にふんだくろうとしたのはならず者連中の方だからな。やられたくなかったら、特に師匠の食事の邪魔だけはすんなよ」


その瞬間、衛兵は苦虫をかみつぶしたような顔をした。


「師匠が本気なら、あれよりもっとヤバいものが出てくるからな。あんなもん、まだ手加減してる方だって」


「何が出てくるっていうんです?これ以上」「この世の終わり」


「冗談じゃ……、ないんですよね」「むしろ、冗談の方がマシだったまである」


「そんなの、のさばらせていいんですか?」


「いいに決まってんだろ?誰が倒せるんだよ、魔王とか悪魔とかアンデットの方がまだ倒せるだけましだぜ?師匠の創造魔法は、術者倒さなきゃ実質無敵無制限だからな。んで、威力はあの通りだ。一体とかなら俺がはり合えば済む話だが、複数出されて空から地下からなんてやられてみろお手上げだぞ」



飯の邪魔さえしなきゃ、無害だから絶対邪魔すんじゃねぇぞ。


そう言って、話を切り上げてからこの場にいるのだ。


(妹の鈴さんに叱られてるとこだけ見てると、そんな危なそうには見えないんだが)


「ありがとうごぜえます」「いいっていいって」



「私も、鈴がいいって言ったらジャージ変えるついでにお風呂行ってきます」


「結構怒ってたから、今回は長いかもだぞ」


「私のアジシオ胡椒をかっさらおうとした連中、叩き潰して何がいけないというの」


「俺が言うのもなんだけど、拳骨の爆風で関係ない建物まで更地になってたのがまずいと思います」


「おけ、次からはちゃんと調整頑張るます」「そうじゃねぇよ……」



?と首を傾げるササラに、カイが無言で溜息をつく。



「次からはソファーにのって、走るソファーで突撃します」「馬力は?400馬力ぐらい?」「どんなソファーだよそりゃ」「異世界に、道路交通法や人権はないでぇす」


(ドヤァ)



「師匠なぁ……、勘弁してくれよホント」

「ちゃんと次からは、判んないトコで埋めるから」


「埋めんなっ!つか、少しは反省しろよったくよぉ」

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