第40話 やっぱり用心棒っているよね

妖光会に、帰りのコンビニ宜しく乗り込んでいくササラとカイ。




頭をぽりぽりとやりながら、「カイ君、ゴメンあれ無理そうだから任せていい?」。


「強いのか?」「多分、私じゃ無傷で完封はムリじゃないかな」


「りょーかい、あんなクソ共残しとくと明日の鈴さんとのデートに差し障るからな」


苦笑しながら、「ぶれないわねぇ……」「脳内が漢の吐息とか殺らないか?で埋まってる師匠にだけは言われたくねぇよ」



すっと、左奥にいた蒼い髪の男が前に出てくる。


「あんたら相手に、タカったらそりゃ乗り込んでくるよな。どこのもんだ」


「ちょっと王宮からな」その言葉を聞いた瞬間眼が点になる蒼い髪の男。



「ホアーーーー!!」


蒼い髪の男の背景に、蒼い稲光が乱舞する背景が現れた。



「近衛兵とかかお前ら」「カイ君、バカ王子様で~す」


手をひらひらとやりながら、ササラが茶化す。


「どうも、バカ王子のカイウェルだって何やらすんだよ!」


「あのバカ、寄りにもよって王宮関係者からたかったのかよっ」


「どうする?今なら、帰れるわよ」「帰りてぇ、けどそういう訳にもいかないからな」



そういって、すっと構える。


「シエルだ、覚えなくていい」「カイウェル、バカ王子で良いぜ?」



スナップだけで裏拳とフックを繰り出すシエルに、同じ様に左手一本でそれに対応するカイウェル。


「この国の王子様、強さしか取り柄がねぇとは聞いてたがよ。裏稼業の人間でもそんな強かないぜ」「師匠が酷すぎるんでね……」



「おかしいな、情報じゃ王子様は剣の使い手だって聞いたぜ?」


「俺の師匠は、勝つ為なら何でもアリってのが信条なんでな。一通りは出来るんだわこれが」


「どんな師匠だよ……、剣士のアンタが同じ拳で拳闘専門の俺と余裕で渡り合うとかよ」


拳と蹴りを風龍の巣の守りの様に乱舞させながら、カイウェルとシエルが会話していた。


皮膚を拳が切裂き、お互いの血がぽたりと地面に落ちた。



「向こうで、地面に兵隊と幹部埋めて熱した油や全身滅毛剤ぶっかけてうっきうきで踊ってるのが俺の師匠だ」


「なるほど、あの弱いモノ虐めってだいしゅき~とかやってるあれか。悪趣味すぎんだろ」



「だが、あのチビお前よりは強くないんじゃないのか」「師匠の真髄は身体能力やスキルの類じゃねぇ、あの酷すぎる発想や兎よりも逃げるトコだ。あの人はな何でもありなわりに自分より強いモノや面倒なものからは光の速さで逃げんだよ」



「俺達より、最低な人間ってなぁ初めて見たぜ」


「かいく~ん、そっちまだ~?」「これ強すぎるから、ちょっと待って」


「判った~、創造魔法で筋肉の漢達を作り出して背中から優しく抱きしめながら吐息でもかけさせて(野郎たちだけで)恋人ごっこでもさせるのを眺めながら待ってるから♪」



それを聞いて、涙目のシエルが叫んだ「殺されるより酷くねぇっすか?」「大丈夫だ、きっと師匠ならベッドインまで再現して遊ぶに違いない」「それ全然大丈夫じゃねえって!」


「ねぇ~カイ君。紐パンは黒か赤どっちがいいかな?」「俺はバカ王子だからわかんねーわ」「それも、そっかメンゴメンゴ」


拳の応酬をしながら気軽に答えるカイウェル、それをジト目でシエルが言った。


「お前、ワザとバカにされてるだろ」「なまじ賢いとロクな事にならねぇ環境なら、俺はバカでいいんだよ」顎でササラのうっきうきなショーを示すとシエルが微妙に納得した「成程、あんなん見せられた後じゃ納得するしかねぇ」



「ピュアな心は捨てて来た!」「捨てないで、お願いだから」

「手後れdash」「頼むからこっち来させんなよ、戦いの邪魔だからな」


「おけまる~」


「あいつらには新しい扉でも開いてもらうとして、俺達はこっちでまともにやんぞ」


「異存なし、いざ尋常にっ!」

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