第20話 城の中で噂になってばれちゃったよね

「なぁ、師匠最近俺の事をキラキラした目で見る奴が増えてんだが?」


ぶすっとした顔で、絶対お前が何かやっただろと確信をもって言う。


「モナちゃんが、私の創造魔法を誤解されてたのを怒ってたから私は人によって印象が違うのよという事を見せる為に偽物のカイ君を作り出して夕方まで遊んで差し上げた訳です」


威風堂々とそう言ったササラ、ジト目で睨むカイと鈴。



「ちなみにどんな感じのを?」


トントンと足でいつものようにやると、そこには二百倍美化されたカイ偽が立っていた。


「出来るだけ、モナちゃんの理想に近づく様に優しく聡明で強いカイ君をカスタムしてみた訳です」



「ちなみに、聞くのも怖いんだが師匠の好みでカスタムするとどうなるんだ?」


右手で軽く指を鳴らすと、そこには日本刀を左右にぶら下げたスクール水着のカイ偽が立っていた。思わずグーパンで殴るカイ、消し飛ぶ偽物。


「あぁ!折角尻えくぼまで完全に再現できたのにぃ」「無駄に精度が高いからやめて下さい」



「そうよ、カイ君はこうもうちょっとヘタレな所がステキなのよ」と思わず力説する鈴。顔を赤らめながら「まっまぁ、鈴さんの好みがヘタレならヘタレも悪くねぇな」



その様子を見ながら、鼻をつまんで手でぱたぱたやっているササラ。


「しかし、成程なぁ。モナも年頃の御姫様って事か」そういって、まだ残っている自分のキラキラした偽物を眺めた。



「所詮魔法だから、眉毛でも鼻毛でも勿論どこの毛でも自在に増やしたり減らしたり伸ばしたりそれで切断できたりするんだけど。この持ってる、花束だって私が出した奴だし。」


左胸ポケットにハンカチを入れ、花束を差し出すカイ偽。


差し出しながら色んな場所の毛が伸びたり小さくなったり、蛇や鞭の様にしなったりしてそれを偶々部屋に来たメイドが「うわきもっ!」とか叫び声をあげた事で三人が後ろをむいてメイドが来た事に気がつく。


「俺の存在が消えちゃうからやめて」「もうすべて手遅れよ☆彡」



「何事だ!!」そういって駆け込んでくる執事の一人ライト。


そこで見たものは、日本刀をケツに挟んでトレーニングするカイ偽……。




「カイウェル様御乱心~~~!」「おい師匠いつの間にそんな精巧な偽物をっ!」


「今でぇす!」可愛くポーズをきめて人差し指を自分のほっぺに突き刺して決めポーズしているササラ。


「ちょ!本物の俺はこっちだってこれは魔法で創り出された偽物」


「ムダよ~、だってゴブリン討伐の時に私がやった魔法覚えてる?」


「ん?確か視界に一つの対象しか映らなくする魔法ってあぁぁぁぁぁ!!」


瞬間ササラを鈴が羽交い絞めにして、般若の笑顔で詰め寄った。



「戻しなさい、姉さん」「いやじゃ~、よく考えたらカラオケもスマホも無いこっちでロクな娯楽もないのにきがついちゃったの~カイ君で遊ぶの~~」


更に黒い笑みを浮かべながら、鈴が言った。


「カイ君は私のよ、姉さんは冒険者ギルドのゲイ先生とかで遊べばいいじゃない」


その言葉に振り向きながら、「それは名案ザウルス」とか言いながらニコニコ笑顔になるササラ。


その様子をドン引きしながら見ているカイ、だがあの先生はもう少し酷い目にあっても良いんじゃないかと思わなくもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る