第16話 オアシス

じんわりと粘り気のある汗がまとわり付く。

あと5分。

イヤホンからのいつもの曲は雑音にしか聞こえない。

考えるよりも身体が必死に動き、焦点は定まらない。

もうカラカラだった。


震える自分を抑えながら、火をつけ、煙を喰らう。

身体の芯から指先に至るまで、ニコちんが染み渡り、呼吸が整う。


ニコチンが色をつけてくれた世界。

今日も空は青かった。

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