第2話 初対面のお約束

入学式が終わり、皆が教室に戻った。

「入学式お疲れ様。さて、これから2時間程ホームルームをやって今日は帰宅となる。ではこのホームルームで何をするか。大体察しは付いているだろうが自己紹介を行なってもらう。ただ、普通にやっても面白くないだろう。そうだな、まずは6人の班でやってから代表を決めてくれ。その代表が皆の前で行い、印象に残った人には私が受け持つ授業で加点をしよう。存分に励んでほしい。私からは以上だ。6人班の構成はわかるな?前から2×3のグループだ。あとはやってくれ。」

担任の先生が問題発言とも取れるようなことを言い、教室は少し騒がしくなった。

僕は左から3番目の列なので右の運動部女子って感じの人と班になる。あれ?見覚えがある気がする。

「じゃあ俺から。俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー。趣味といえる趣味はネットサーフィンくらいしかないけどレスは早いからそこが長所かな。あと俺バカだからできれば勉強教えてほしいかもです。以上。次の人どうぞー」

なんかスレッドを立てそうなヲタクっぽい人だ。

「じゃあ時計回りだとして私かな。私の名前は田中恵。一応趣味は漫画とかアニメかな。ちなみに踏み込んでしまえば漫画よりもライトノベルの方が好き。まぁある程度の話なら問題なくついていけるから話そうねって感じ。これからよろしくね。以上。次の人ー?」

なんかテンションがよくわからない人だった。まぁ僕もライトノベルには通じてるから話題には困らなそうだ。

「じゃあ私ね。一妖夢。小5から剣道やってて部活も剣道部に入る予定だよ。外見だとわからないかもだけど筋肉は締まってるよ。よろしくね。」

隣の席の妖夢さんが終わったので僕も自己紹介をした。やっぱり少し慣れない。

「アリス。そう呼ぶといいわ。この子はベア子よ。」

アリスと名乗った女はクマの人形を抱えて自己紹介?を終えた。

「じゃあ最後ね。僕は奏・クラーレット。凡庸であまり取り柄がないのを自称してます。他者の受け取り方は知らないから評価は貴方達に任せてますが。これからよろしくお願いします。」

一人称が僕のいわゆる僕っ子が自己紹介を終えた。

「代表なんだけどみんなで1〜6の番号を決めてダイスに任せない?」

田中さんはなぜか賽子を持ってきているらしい。

「じゃあ自己紹介順に1〜6で所有者の私がダイスをふるってこといいね?いくよ!」


賽子の結果は4。つまり僕が代表になってしまった。


「佐藤玲と申します。花が好きで家では紫陽花や秋桜などを育てています。これからよろしくお願いします。」

当たり障りのない自己紹介をして僕は番を終えた。

他の代表には巫女見習いやメイドをしている人など特異な人ばかりだった。

これでは加点などないだろうことは明々白々だった。


「ねぇ、勘違いなら悪いのだけど貴方苗字変わったことある?」

左の巫女見習いが話しかけてきた。

「なんで、ってそうか小さい頃仲良かった。よな?巫女見習い。」

「あの頃は見習いだったけど今は仕事振ってもらってるから見習いはやめてもらえる?霧雨くん」

「その姓はもう名乗っていない。これからは佐藤玲、な?巫女さん」

「玲って前は花を慈しむってより兎とか鼠とかの小動物を可愛がってた気がするんだけどどうしたの?」

……。

「魅了された。それだけだよ。そっちはどうなんだ?ほら右の妖夢とかとさ。」

「普通に仲良くやってたよ。なんだかんだずっと同じクラスだったし。」

「それとお前の前の席の人は誰?仲良さげだったけど」

「ああ、こいつとは意見が対立しやすくてライバル的関係なのよね。」

「なるほどなぁ。ひとまず改めてよろしくな。光」

「こちらこそよ。玲」

旧友との邂逅を終えた頃にはホームルームはあと半分になっていた。

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